コラム
» 2010年01月19日 08時00分 UPDATE

「ふっかけた方が得」の交渉術に負けない方法 (1/2)

アンカリング効果の力を踏まえると、売り手側が価格交渉を有利に進めたければ「ふっかけた方が得」。それでは、買い手側としては、そんな売り手側の策略を避けるためにどうすればいいのだろうか。

[松尾順,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)

早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。


 前回、アンカリング効果の力を踏まえると、売り手側が価格交渉を有利に進めたければ、「ふっかけた方が得」ということをお話ししました。

 →「ふっかけた方が得」の“アンカリング効果”とは

ah_ankari.jpg 予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』(ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳、早川書房)

 では、買い手側が、売り手のこうした策略を避けるためにはどうしたらいいでしょうか?

 最初に相手が提示してきた金額がとんでもないものだったら、具体交渉に入らず、いったん席を立って時間を置き、改めて再交渉を行うのが正解。なぜなら、ありえない金額だと分かっていても、提示された金額に影響を受けてしまうからです。

 何とか調整しようと交渉を始めたら、その瞬間から、アンカリング効果の罠に落ちることになります。だから、ふっかけられたら、まず席を蹴って数字をリセットし、再交渉の機会を持つべきなのです。

 さて、アンカリング効果は、ビジネスのあらゆる場面で“効果的に”使われています。例えば、寿司屋のメニュー。にぎりずしセットの価格はたいてい「松」「竹」「梅」の3種類ですね。価格設定としては、松が2800円、竹が2100円、梅が1500円といったところでしょうか。

 お客さんの懐の具合もあるでしょうが、多くの場合、「竹」が選ばれます。おそらく、この選択プロセスの背景には次のような心理が働いているのです。

「梅」だと何だか安さだけで選んだみたいで、ちょっと恥ずかしい。

でも「松」は高いなあ。

それに比べると「竹」は安いから「竹」にするか。

 つまり、「松」が基準点(アンカー)となって、実はそれほど安くもない「竹」が安く見えてしまうというわけです。

 いくつかの物販店では、客層から見て、滅多に売れそうもない高級品を陳列することで、店舗の格を上げると同時に、ほかの本当に売りたい商品を相対的に安く見せるという手法を採用しています。いわゆる「見せ筋」ってやつですね。

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