フィレンツェで声をかけられた……旅行客を狙う、スリの手口松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

» 2010年01月19日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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ちょっと怪しい露天商

 法に触れるのかハッキリしたことは分からないが、路上にバックや絵を並べて観光客相手に売る露天商の姿は印象的だった。彼らは屋台など一切持たず、布一枚敷いた上に品物を載せたり、直接路面に絵を並べて商売している。値段を尋ねる機会はなかったが、おそらくコピー商品を安く売っているのだろう。雨が降ると商売にならないから、今度は観光客相手の「傘売り」に変身する。こういった商売をするのはほぼ全員が黒人の若者であり、社会階層間の軋轢(あつれき)や移民問題の深刻さを垣間見る思いがする。

 必死で働いている彼らに対してこう書くのは心苦しいが、やはりそういった商売は街の雰囲気を安っぽいものにおとしめてしまうし、正規の商売を圧迫するだろう。彼らの商売は無許可(違法)らしく、警官が近づいてくるとわずか数十秒の間に荷物をまとめて姿を消してしまう。警官は彼らを追いかけようとしないから、本気で街から締め出すつもりはなさそうだ。

 今回はたまたまネガティブな話に偏ってしまったが、改めて書くまでもなくフィレンツェやローマは魅力的な観光都市だ。世界中から集まる観光客の多さがその事実を物語っているし、筆者自身ぜひ再訪したいと思っている。にぎわいがあり観光客の集まる街には、必ず何かしらの問題が同居するもの。海外旅行では、これもちょっとした旅のスリルとして割り切り楽しむくらいの図太い神経を持ったほうが良さそうだ。

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