「必要なのは才能発掘の次のステップ」――日本のアニメ業界に足りないものコミックマーケットシンポジウム(4/4 ページ)

» 2010年01月18日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]
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日本発コンテンツを創出し続けるための3つのポイント

岡本 日本発コンテンツを創出し続けるためのカタパルトシステムを整えるに当たっては、重要なポイントが3つあると思います。

 1つ目は、海外のマーケットに目を向けるということです。先ほど申し上げたように、少子化や不景気の影響もあって、日本のアニメーションの本数は減っています。そこで、国際共同制作ということがアニメーション制作の世界で潮流になりつつある。つまり、「広く海外に資金とマーケットを求めてはどうか」ということになっています。

 今、アジア各国のアニメーション業界は全部中国を向いています。この前、香港のシンポジウムに行ったら、「中国に一番近いのは自分たちだ。そこがアドバンテージだ」という発言があったくらいです。ただ、そうしたところで日本のアニメーション監督は非常に重宝されるので、進出していかなければいけないのではないかと思います。

 2つ目は、プロジェクト単位の小規模助成が必要だということです。今、文化庁には映画の制作活動への助成金があるのですが、これは助成対象経費1000万円以上からということになっています。しかし、先ほど申し上げたようなカタパルトプログラムでの短編アニメーション制作は、数百万円でも十分できるわけです。そういった小さいプロジェクトを支援して、多くの人にチャンスを与えられるような助成の方法もあるのではないかと思うのです。

 例えば、『つみきのいえ』以前(2007年)にアカデミー短編アニメ賞を受賞した『THE DANISH POET』はカナダとノルウェーのプロダクションの合作で、それぞれが助成金を持ち寄って作ったものです。そういった例も増えるように、小規模助成を増やしてほしいなと思っています。

 最後に、プロデュース機能の活性化です。ディレクター(監督)の才能を発見したり、予算をつけて制作進行を管理し、社会とつないだりするのは、プロデューサーの役割です。そういったプロデューサーはまだまだ日本に少ないし、その中でもフリーとして活躍できる人はもっと少ないです。国際共同制作をやっていくのも、プロデューサーの役割なので、そういったプロデュース機能を充実させていくことが必須だと考えています。

平成21年度助成対象活動(映画の製作活動(第2回))の募集について(出典:日本芸術文化振興会)
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