なぜハイボールは売れたのか(1/3 ページ)

» 2010年01月12日 08時00分 公開
[竹林篤実,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:竹林篤実(たけばやし・あつみ)

東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ


 小雪さんの「ハイボール」のCMを覚えているだろうか。あのCMの効果も相まってなのだろうが、これが売れた。確かマーケットではお酒離れが進んでいたはずなのに、なぜハイボールは売れたのだろうか?

【サントリー】 おいしいハイボールのつくり方 小雪さん編

30年前の記憶

 ハイボールとは、早い話がウイスキーのソーダ割りである。筆者が大学生のころ、30年くらい前にはよく飲まれていた。貧乏学生たちは、手っ取り早く酔いたいのである。従って必然的に強い酒を飲むことになる。とはいえ高い酒には手が出ない。

 そこで愛用(愛飲?)されたのが「ホワイト」だった。京都界隈だけでの話かもしれないが、ウイスキーといえばなぜか圧倒的にサントリーだったのだ。サントリーウイスキーのどの銘柄を選ぶかは、誰がどれぐらいお金を持っているかによって決まった。

 誰かにバイト代が入って、「今日はちょっとリッチに」というときは「角」である。全員揃って仕送り前とかでカネねえよ状態の時は「トリス」で我慢することもあった。が、平均して最も飲まれたのは「ホワイト」である。

 あのころは自動販売機でも「ホワイト」を売っていた。これが実によく冷えている。そこで付いた符牒が「きんきんのホワイト」。これをソーダはもとよりコーラやキリンレモンなどで薄め、がぶがぶ飲むというのがお決まりのパターンだった。

ハイボールの作り方(出典:サントリー)
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