円安を好感する動きも見られたが目先的な過熱感から手仕舞い売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年01月07日 16時40分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10681.66円 ▼49.79円
売買高 23億3526万株
日経平均先物 10700円 ▼10円
売買代金 1兆5073億円
TOPIX 931.85 △0.72
値上がり銘柄 853銘柄
東証マザーズ指数 402.63 ▼2.01
値下がり銘柄 669銘柄
日経ジャスダック平均 1178.12円 ▼2.41円
変わらず 159銘柄
騰落レシオ 120.14% ▼7.50%

日経平均

円安を好感する動きも見られたが目先的な過熱感から手仕舞い売りに押されて軟調

 米国株は底堅く堅調、為替も円安に振れたことから買い先行となりました。ただ、目先的な過熱感があったことや円高にもかかわらず昨日堅調なものが多かったことなどから、寄り付きの買いが一巡した後は利益確定売りがかさんで上値を押さえる展開となりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)は株数ベースでは買い越しながらも金額ベースでは売り買い拮抗となったことで、ハイテク銘柄や自動車株など先駆した銘柄が売られ、銀行株や海運株などが出遅れ感から、非鉄株や商社株が商品市況の上昇を受けて買われ、指数は方向感のない展開となりました。

 後場も寄り付きから手仕舞い売りがかさみ軟調な始まりとなりましたが、手仕舞いの売り買いが交錯する格好で底堅さも見られました。ただ、非鉄株や商社株などが目先筋の手仕舞い売りで上げ幅を縮小するようになると指数も下げ幅を広げ軟調な推移となりました。さすがに、大幅安となるような水準まで売り急ぐようなこともなく底堅さが見られると買戻しも入り戻り歩調となったのですが、出遅れ感から買われていた銘柄などにも目先筋の見切り売りなどもあって戻り切らず軟調となりました。

 小型銘柄も相変わらず「蚊帳の外」という感じでちょっとした手仕舞い売りや見切り売りに押されるものが多く、東証マザーズ指数や日経ジャスダック平均は軟調となりました。先物はまとまった売り買いはほとんど見られませんでした。散発的にまとまった売り買いが出るところでは指数も振れるのですが、追随する動きがほとんど見られないことで方向感を出すようなこともありませんでした。あくまでも小口の目先的な売買が中心となっていたようです。

 日経平均は昨年のように大暴落とはなりませんでしたが、昨年と同じ様なパターンとなりました。昨年の9月ころから、1年前のパターンと値幅は違うのですが同じ様なパターンとなっており、今後の動向も気になるところです。ただ、昨年と大きく違うのは業績がどこまで落ち込むのかを懸念していたものが今年は業績が何処まで戻るのかを気にしているということです。したがって、昨年と同じ様な「調整」となるとしても押し目は小さいのではないかと思います。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 高値圏のもみ合いのなかで「包み足」となり明日も軟調となれば、調整となる可能性が高くなります。RSIもストキャスティックスも高く、過熱感もあることから、一旦転換線までの調整となってもおかしくはないところです。

TOPIX

NYダウ

 高値圏で「コマ」と言われるような形が出現しました。昨日が比較的大き目の陽線であり、明日の寄り付きが安い、あるいは本日の安値を下回るような大きな陰線となるようであれば、「三川」という形で「天井」となる可能性が高くなります。RSIには若干上値余地もあるのですが、ストキャスティックスは高値圏にあり、過熱感が強いところで上値の重さが確認されるといったん調整となるのでしょう。

円相場

NYダウ

 節目と見られる92円水準で下げ止まった格好となっています。まただ、RSIもストキャスティックスも下落を示しており、遅行線がサポートされた雲も下落していることから、引き続き下値を確認しながらのもみ合いで調整が続くものと思います。

銘柄ピックアップ

出遅れ銘柄を物色する動き、銀行株も高い

ABC マート(2670) 2597 ▼28

 昨日の大引け後に2009年3〜11月期連結決算を発表。好調な業績を改めて見直す動きから買い先行となりましたが、既に新聞で同様の内容が報道されていたこともあり、材料で尽くし感から売られ、軟調となりました。

JR東日本(9020) 5890 △10

 年末年始の利用客数が昨日発表になり、統計が残る1991年以降で最大の落ち込みとなりましたが、想定ほど悪くなかったとの見方から買戻しなども入り堅調となりました。

郵 船(9101) 326 △18 、 商船三井(9104) 555 △17

 両社や川崎汽船(9107)など海運株が軒並み大幅高となりました。世界的な景気回復に伴っての業績回復期待から複数の外資系証券が投資判断を引き上げたことから、出遅れ銘柄を物色する動きもあって大幅高となりました。

ソニー(6758) 2743 ▼1

 円安にもかかわらず利益確定売りが嵩みハイテク銘柄に軟調となるものが多い中で、年末商戦で家庭用ゲーム機の販売が好調と伝えられたことから堅調となる場面もあり、最後も底堅さが見られました。

住友鉱(5713) 1467 △22

 海外市場で金先物ばかりではなく銅などの非鉄市況が上昇していることから、業績上振れが期待されて買い先行となりました。日経平均が昨年来高値を付けるなかで、出遅れ感が強い銘柄として買われた面もあるものと思います。

TDK(6762) 5650 ▼130

 為替は円安になったのですが、既にある程度円安を織り込んでいるということに加え目先的な過熱感が強く、利益確定売りに押されました。持高調整と見られる売りも出て下げ幅を広げたものと思います。

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