米国株高を受けて一時大幅高となるも達成感からの利益確定売りに押されて上げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年01月05日 16時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10681.83円 △27.04円
売買高 21億0544万株
日経平均先物 10690円 △50円
売買代金 1兆4657億円
TOPIX 919.57 △3.82
値上がり銘柄 792銘柄
東証マザーズ指数 414.68 ▼4.23
値下がり銘柄 715銘柄
日経ジャスダック平均 1180.71円 △0.51円
変わらず 173銘柄
騰落レシオ 116.90% △1.60%

日経平均

米国株高を受けて一時大幅高となるも達成感からの利益確定売りに押されて上げ幅縮小

 米国株が大幅高となったことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が大幅買い越しとなったことから買い先行となりました。ただ、為替が円安一服となったことから寄り付きの買いが一巡した後は上値の重い展開となり、昨年8月の高値を抜けたところでは達成感から利益確定売りや見切り売りが嵩んで上げ幅縮小、方向感のない展開となりました。商品市況が上昇したことを受けて商社株や非鉄株が高く、出遅れ感や海運指数の上昇もあって海運株が高くなるなど、ハイテク銘柄以外の銘柄も高くほぼ全面高となりました。

 後場は出遅れ感が強かった銀行株などにも持高調整と見られる買戻しが入り、一時大幅高、前場の高値を抜ける場面もありました。ただ、持高調整の一環で円高が進んだことから、自動車株やハイテク銘柄の一角が軟調となるなど売り急ぐ場面も見られ、指数は上げ幅縮小となりました。先物も目先筋のまとまった売り仕掛けのような売りもあって一気に上げ幅縮小となる場面もあるなど、落ち着きのない相場展開となりました。結局、上げ幅縮小とはなったもののかろうじて前日比プラス圏で引けました。

 小型銘柄も利益かくて売りや手仕舞い売りに押されるものが多く、東証マザーズ指数は軟調、日経ジャスダック平均も横ばい、と冴えない展開となりました。先物はまとまった売り買いもほとんど見られなかったのですが、後場中ごろからまとまった売りが見られ、指数を下押す要因の一つとなりました。目先筋が中心と見られ、すぐにまとまった買いも入ったのですが、指数を押し上げるということはありませんでした。

 一時昨年8月のザラ場中(取引時間中)の高値を抜ける場面もありましたが、結局は節目と見られる10800円水準を抜けずに、利益確定売りや見切り売りに押されて上値が重くなりました。目先的な達成感もあったのでしょうが、為替が円高に振れたことを考えると、円キャリー取引の解消のような動きもあったのかもしれません。ただ、業績回復を織り込む状況には変わりなく、いったんは目先的な過熱感を冷ますような動きで押し目を確かめる場面もあるのでしょうが基調は強含みだと思います。ただ、昨年9月頃からの動きが、一昨年9月から昨年1月までの動きと似ているところが気になります。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 上ヒゲの長い形で明日の寄り付きが軟調となると本日の高値が当面の高値となる可能性が出てきました。RSIはまだ上昇が続いていますが、高値圏にあり、ストやスティックスは高値圏からの調整を示唆しており、また基準線や移動平均線からの乖離も大きいことから、いったん調整となる可能性が高くなりました。「三役好転」となっているのでまだまだ基調は強含みなのですが、いったん押し目を確かめるように、過熱感を冷ますように調整となるのではないかと思います。

TOPIX

NYダウ

 一昨日の高値を抜けたことで強含みの展開が期待されましたが、上髭の目立つ陰線を引いたことで、明日の寄り付きが軟調となると本日の高値が当面の高値となる可能性もありそうです。RSIは上値余地があるのですが、ストキャスティックスは高値圏からの調整を示唆しており、遅行線が雲の上限に上値を押さえられた格好でもあり、いったん調整となるのかもしれません。「三役好転」となっていることで、大きな下落はないのでしょうが、過熱感を冷ますように押し目を確認するような動きとなるのかもしれません。

円相場

NYダウ

 RSIやストキャスティックスが高値圏にあり、目先的な過熱感が強く上げ一服となりました。今度は抜けて来た節目の92円水準での底堅さを確認しながら日柄調整となりそうです。基準線が上昇に転じるところですが目先的な過熱感は否めず、いったん90円台まで下値を試すような動きもあるかもしれません。

銘柄ピックアップ

商品市況高に反応、円高を嫌気して自動車株などが軟調

シャープ(6753) 1187 △9

 液晶パネル事業の競争力増大やテレビの構造改革、携帯電話の黒字定着、太陽電池の増益回帰が支援材料として、外資系証券が買い推奨を継続、目標株価を引き上げたことや米国株高を受けて買われ、堅調となりました。

中央電(5566) 700 △35

 リチウムイオン電池の負極材として使う黒鉛の生産能力を新製法により4倍に増やす、と新聞で報じられたことから業績拡大を期待した買いが入り大幅高となりました。ニッケル水素電池用の負極材の増産も進めており、電池関連での収益拡大が期待されます。

オリックス(8591) 6590 △280

 中国で投資事業を始めると発表、高成長が期待される中国で、日本の金融機関として始めて本格的な投資事業を始めることが評価されて買われ、大幅高となりました。

大正薬(4535) 1600 ▼14

 主力の大衆薬部門の営業利益が期初予想を下回る見込みと新聞で報道され、景気回復、業績回復が期待されるなかで嫌気されて売りが嵩み、軟調となりました。

エルピーダ(6665) 1608 △100

 台湾の生産子会社でチップ生産量を倍増するというニュースと広島工場で超小型DRAMの生産を始めるというニュースが報じられ、収益拡大、生産性の向上を好感する買いが入り、大幅高となりました。11月の世界の半導体売り上げが前年同月比でプラスとなったことも好感されたものと思います。

商船三井(9104) 511 △19 、 郵 船(9101) 296 △10

 海運指数がようやく反発となったことに加え、日経平均が昨年の高値を更新する中で、出遅れ感が強い銘柄群として値ごろ感から買いが入り大幅高となりました。持高調整の買い戻しもあったものと思われます。

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