「年末モード」で積極的な売り買いに乏しく方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月29日 16時13分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 昨日と何がどう変わったというわけではなく、手掛かり難のなか軟調となりました。売り先行で始まった後は先物のまとまった買いが入り堅調となる場面もありましたが、買い上がるだけの材料に乏しく、前日の大幅高の反動もあり上値の重い展開となり、軟調な展開となりました。年末年始の株高期待はあるものの、買い手ががりに乏しく、ちょっとした手仕舞い売りに押されてしまうようです。

 銀行株を中心に「増資」が懸念される銘柄や増資を行った銘柄が売られました。「増資」というと株式価値が希薄化するとして毛嫌いされることが多いのですが、目先的な需給はともかくとして将来的な財務の安定が業容拡大と言う意味ではそれほど軽嫌いするものでもないのでなないかと思います。確かに一株あたりの価値は減少しますが、増資によって価値が上がれば増資は逆に株価にとってプラスとなるはずなのです。

 増資によって財務基盤が改善し、銀行からの借り入れがしやすくなる、あるいは借り入れ金利が下がるなどということもあるかもしれません。また、銀行でも増資をして貸出額が増えればその分収益が拡大することになるかもしれません。もちろん単純に考えるのは良くないと思いますし、安易な増資は考え物ですが、「増資」の中身やその後の事業計画なども考えずに「増資」=株安材料、と考えるのはどうかと思います。

 そうは言っても「増資」が嫌気されて売られるものを買い向かっても流れが「売り」と言う流れであれば買っても、買っても下がるということになりかねません。ただ、その「増資」が「良い増資」であれば、いずれ業績面などから割安感が強まって来るものと思います。単純に目先の、上っ面の事象だけを見るのではなく、少し「先」を読んでみることは必要だと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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