iPhoneやめました(5/5 ページ)

» 2009年12月24日 20時30分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]
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キーボードがないデバイスは……

 そして最後、5つめの理由。これは私だけかもしれませんが、「物理的なキーボードがないデバイスは、触っていて楽しさ半減」という事情もあったりします。これは理屈じゃなく、完全に性向の問題ですが、どんなにソフトウェアキーボードの精度が上がっても、フリック入力に慣れても、キーをプチプチ押す楽しさにはかなわないんですよね……(私の場合)。この話をiPhone LOVEなBiz.IDの鷹木編集長にしたところ、「やっぱり吉岡さんはポメラの人なんだね……」とため息混じりにあきれられてしまったのでした。

“カメラ付きiPod touch”になったiPhone

 1ページ目に書いた通り、本コラムはもともとメルマガに書いたもので、その後松尾さんがブログに取り上げてくれました(参照記事)。ブログへの反応はいろいろだったのですが、ちょっとびっくりしたのは「『iPhoneやめました」であっさりやめれる(コメントママ)人なんて、そもそもiPhoneを何も使いこなしてない人なんですよ。その持ち歩いてるPCだってろくなもんじゃないでしょう。そして『iPhoneやめました』と公に表明する時点で知れてる人間性です」というコメントがあったことでした。

 現在、SIMカードを抜いたiPhoneは、「写真が撮れるiPod touch」として引き続き愛用中。iPhoneでもっとも気に入っていたポイントの1つが、カメラ関連のアプリが充実していたこと、そしてiPod touchを欲しいと思わなかった理由が「カメラがないこと」だった私。3Gネットワークにはつながらなくても、家や会社では無線LANにはつないでいるので、撮った写真をメールで送信したり、Twitterを見たりといった使い勝手はこれまで通りです。

 iPhoneユーザーはよく「iPhoneを手放す生活なんて考えられない」「iPhoneがなかったころどうしていたのか思い出せない」と言います。しかし私がiPhoneをやめて不便になったことといえば、外でメールチェックができなくなったことくらい。Twitterのモバイル版を使うようになったらiPhoneを使っていたころよりチェックする頻度は大幅に下がったとか、「TRAVATER」「セカイカメラ」といった位置情報を使うアプリで遊べなくなった、といった細かい変化はありましたが、iPhoneがカメラ付きiPod touchに変わっても、私は普通の携帯を使って以前と大して変わらない日常を過ごしています。

 どんな携帯にもメリットとデメリットがあり、ユーザーが重視することや使う目的、リテラシーの差によって、自分に合う端末を選ぶのは当然のこと。例えば私が富士通の携帯をやめてカシオの携帯に戻ったとしても、「富士通の携帯の良さが分からないなんて、そもそも富士通の端末を使いこなせていない人ですよ」といった反応は、まずないでしょう。それは、携帯電話が誰にでも使えるものとしてコモディティ(日用品)化しているからです。

 最近では女性のユーザーをよく見かけますし、「iPhoneはキャズムを越えた」と言われることも増えています。しかし、iPhoneを買ったものの使いにくいと文句を言う人に対し、ヘビーユーザーが「どういうものか調べないで買うのが悪い」「iPhoneを使いこなせていないから不便に感じるのだ」といった言葉を投げかけるシーンを、いまだによく目にするのも事実。こういうやりとりがあること自体、やはりiPhoneはまだまだ普及したとは言えないという証拠なのではないか……iPhoneを1年近く使い、そしてやめた今、私はそう思っています。

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