旧ソ連製カメラの掘り出しもの、ZORKI-4&FED F3.5/50ミリ-コデラ的-Slow-Life-

» 2009年12月24日 08時00分 公開
[小寺信良,Business Media 誠]

 古いカメラの話である。

 「いや、そもそも古いカメラの話しかしてないだろオマエは」というツッコミもあろうかと思われるが、そういうことではなくて、この旧ソ連製カメラ「ZORKI(ゾルキー)-4」を手に入れたのが、もう3年以上前のことなのである。

3年以上前に購入したZORKI-4

 これまで修理をしてきたカメラの話はだいたい書いてきたわけだが、このカメラは壊れていなかったので書き損ねていた。このZORKI-4は、ジャンクとして売られていたものである。「壊れていないのにジャンク」とは不思議な話なのだが、実はお店の人が使い方をよく分かっていなくて、「壊れている」と思っただけだったようだ。確かFED(フェド)のレンズもセットで、6000円ぐらいで買ったのだと思う。

 旧ソ連製のカメラは、これまでZENIT-Eくらいしか扱ってこなかったが、実はメーカー/ブランドがたくさんあり、非常に奥が深い。ZENITとZORKIはともに、「KMZ」というメーカー製のもの。KMZはクラスノゴルスク機械工業の略だそうである。レンズのFEDは、ロシア文字で「ФЕД」と書く。なんだか顔文字でお馴染みの文字が含まれている。

MADE IN USSRの文字が物々しい

 実はFEDの方が老舗で、KMZのZORKIはFEDのカメラをOEMしたものが元祖だそうである。旧ソ連のカメラは、メーカーよりもブランドで覚えた方が早い。旧ソ連のカメラでこれは、というブランドを書いていくと、前出のFED、ZORKI、ZENITに加え、Киев(キエフ)、SMENA(スメナ)、AGAT(アガート)、CHAIKA(チャイカ)あたりを覚えておくと、中古カメラ店を回って楽しめるだろう。

FED F3.5/50ミリのレンズ

 旧ソ連製のカメラで一斉を風靡(ふうび)したものにLOMO(ロモ)があるが、実はLOMOはブランド名ではなく、メーカー名である。正式なブランド名はLC-Aという。ちなみにこのLC-AはLOMOオリジナルではなく、COSINAのCX-2というカメラのデッドコピーである。

はまると深い旧ソ連カメラ

 クラシックカメラ好きは、旧ソ連製カメラにはまる人とバカにする人の2通りに大別される。旧ソ連のカメラは、第二次世界大戦後に旧東ドイツを併合した関係で、ライカを始めとするドイツカメラの正当な継承者であった。

 ただし伝わったのは主に製造技術で、設計技術が伝わらなかったことに加え、知財管理もきちんとされておらず、次第に劣化コピー&日独カメラのデッドコピーと化していった。近代になるに従って、一流ブランドからデッドコピー品が出るという現状は寂しいものがある。

 しかも、製品に当たり外れが相当ある。中古カメラ店でちゃんと動いているものは、それなりに使われた結果、今でも動き続けているので、当たりの類である。ジャンクコーナーに相当量埋もれているのがハズレだ。

 それでも旧ソ連製カメラにひかれるのは、レンズが良いからである。もちろんそちらも当たり外れがものすごく大きいのはお約束だが、ビックリするくらい良いレンズが安価で出たりして、なかなか油断ならない。そういう博打性もまた、魅力の1つである。

 旧ソ連のレンズブランドとしては前出のFED、INDUSTAR(インダスター/インダスタール)、MIR(ミール)、JUPITER(ジュピター)あたりを覚えておくと楽しいだろう。マウントも千差万別いろいろ出ているので、アダプターを使えば今どきのデジカメでも付いてしまうものもある。もちろんマニュアルでしか撮れないが。

 ZORKI-4はLマウントだが、後日これも格安でJUPITERのF4/135ミリという長玉を入手した。多少レンズにゴミがあったが、分解掃除できれいになった。

後日入手したJUPITERのF4/135ミリ。絞りの形が芸術的に美しい

 今回は久しぶりにこのカメラを引っ張り出して、撮ってみようと思う。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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