「独立してコンサルタントになりたいんです」って本気ですか?(3/3 ページ)

» 2009年12月22日 08時00分 公開
[伊藤達夫,INSIGHT NOW!]
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リスクを下げる試みを

 努力がどうと言うつもりはありません。経験があることをやりながら、うまくシステムを組めればそれはそれで流れるようにうまくいきます。「血のにじむような努力が……」という人もいますが、そういう人は才能がないのです。無理してやっているのです。「努力が必要」と脅す人は、多分あんまりうまくいっていません。

 ただ、まともなやり方とそうでないやり方があります。リスクを下げるためのステップ論があります。従業員として、やったことがないことをやるのは危険なので、独立したくても、一応、従業員としてやってみましょう。

 その上で仕事がしっかり評価されない人、仕事が取れない人は危険です。少なくともしっかり昇進して、予算策定や採用、教育や予実管理くらいやれるポジションに行ってください。

 できれば事業部長ぐらいになって、1つの事業の責任を持って下さい。事業の観点から今あるシステムを見ることができないと、「なぜ仕事が取れるのか?」「価値提供ができるのか?」が分かりません。その上で、独立したいなら、その領域でしてみてください。

 まあ、事業部長までやって、黒字を出していれば、違う領域でもできなくはないでしょう。情報量が少ないのを埋める工夫があればいいだけです。こういうステップを無視してやるのは、すごくリスクが高いです。やったことがないことをやるのは危険です。事業責任を負ったことがない人が、事業責任を負うのも危険です。できれば従業員として、他人のお金の保証の庇護の下でやって下さい。

 たまーに、天才もいますが、そういう人はどうでもいいです。できると信じてやって「できた!」という人もそれはそれでいいでしょう。とりあえずやってみることも大事です。でも、リスクは下げてくださいね。

 雇われていることは素晴らしいことです。毎月の給料をもらいながらいろいろなことができます。できないのは、あなたが信用されてない、仕事ができないとみなされているからです。それだけです。「俺は頭がいいし、やりたいから、コンサルタントをやれるんだ!」と言う人もいます。それでうまくいく人もいますが、少数です。

 リスクを下げる試みをして下さい。今、回りにいる人と信頼関係を結んで下さい。そして、今、目の前にある仕事を一生懸命やって下さい。そうすれば、普通に昇進します。仕事が増えます。周りが放っておきません。もし本当にそうやっていて、そうでないなら、時間が満ちてないか、才能がないのです。

 今後、日本は本当の不況に入るでしょう。資本主義社会下で価値のない会社、価値のない人は淘汰されます。「人口減少というかつてないフェーズに入ること」「googleのような、スケールメリットの大きいグローバル企業が、低価格サービスを提供してしまうこと」の2つは激烈に大きいですね。

 当然、ビジネスチャンスも山ほど、腐るほどありますが、これまでの視点で見ていると見えないものだらけでしょう。人のレベルで言えば、本当のホワイトカラーに移行できる、もしくは本当のブルーカラーに移行できる人は失業しないでしょう。でも、失業率は上がるはずです。すると、独立せざるを得ない人が山ほど出てくると思うのです。そういう人に向けた警鐘として今回は書いてみました。

 独立せざるを得なくなった時、一番生きるのは「今、ここ」で一生懸命仕事をした経験です。いいですか? 今、ここで目の前の仕事ができない人は何もできません。外部の研修に行くのもいいですが、そんなことよりも今の仕事を一生懸命やるほうがいいと思います。

 だから、今、目の前の仕事を、今の場所で一生懸命やってほしいのです。そうでないと、本当の大不況が来たときに、とても苦しい思いをしてしまうかもしれません。大事なのは今です。今いる場所です。そこで認められるくらいに一生懸命やることです。独立してから頑張るなんていうのはリスクが大きすぎます。(伊藤達夫)

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