実は今流行の“エコ”にも同じような側面があります。茶葉と湯でお茶を入れれば、ペットボトルを分別し、リサイクルする必要はなくなります。燃費のいいクルマだのエコカーだのと言わずに、「車に乗るのをやめて歩く」ようにしたら、環境は一気に良くなります。
だけど、みんな「そこまでして環境をよくしたいわけではない」んです。なんとなく「環境にやさしいといいな」程度なんです。だから「“実は効果は小さいけど楽な方法”を無意識に選ぶ」のです。
しかも、人間はずるいです。自分が「効果は少ないが楽な方を選んでいる」ということを認めません。あくまで必死でやっていると“自分で自分に”主張します。
というわけで、節約をして貯蓄を増やそうと考える家庭、運動をして体重を減らそうとする諸兄、ゴミを分類して環境を良くしようと思う人たち、がこの世にはあふれています。みんな、それが正しい方法であると信じるために、あえて“思考停止”という選択肢を選んでいるようにも思えます。
本当に貯蓄を増やしたいなら、本当に体重を減らしたいなら、本当に環境のことを考えているなら……やるべきことは別にある、と自分で気が付いてしまわないように思考停止するのです。そうすれば「頑張っている自分」が手に入りますからね。
そんじゃーね。
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。
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