冬の女王がTwitterの第一人者になったわけ――広瀬香美さん(前編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(3/4 ページ)

» 2009年12月19日 06時30分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

 それにしても、半年前には想像もできなかったような周辺環境の激変である。このTwitterと出会うことを通じて、彼女自身の内面にどんな変化が生じたか尋ねてみた。すると……。

 「特に変化はないですよ(笑)。というのもTwitterでは、私がこれまでライブで言っていたのと同じことをつぶやいているからです。Twitterを通じて、より多くの皆さんにそうした私の思いが広がって、とてもうれしいです」

 さらに今後について、次のように力強く語った。「ITの進歩は目覚しいものがあります。今後、Twitterを越えるコミュニケーションツールも出てくるでしょう。そういう進歩に、私自身、ちゃんとキャッチアップしてゆきたいと思っています」

現在、Twitterページはクリスマス仕様。アイコンの広瀬さんもサンタ帽をかぶっている

 “自分の想いを伝えることを通じて、社会に貢献したい”と、それまで経験のなかったTwitterにあえて取り組み、またたく間に第一人者になった広瀬さん。彼女の心の奥底には、実は次のような思いがあった。

人生は孤独で寂しいもの、だから微笑みをあげたい

 「ここ6〜7年、特に強くそう思うようになったんですが、人間は皆つながっているんだと思うんです。ひとりひとりの果たすべきミッション・役割に違いがあるだけで、基本的には、地球にいる65億人全員が1つの生命体というか、一体化した存在だと感じます。全宇宙が1つの生命体であると言ってもよいかもしれません。

 なぜそう感じるのか、と問われれば、それは、『人生って、孤独で寂しいものだ』と思うからです。ひとりひとりの人間なんて、ほんと、ちっちゃな存在。それを私自身かみしめて生きてきました。だからこそ、一体化しているって理解しようとしているのかもしれません」

 深い人間洞察である。個々の人間は宇宙(森羅万象)と一体化していて、その中で「生かされている」存在だと見なす点では、仏教哲学に由来する日本古来の「主客一如」の思想と相通じる。あるいはまた、個々の人間の意識の深い部分は全人類とつながっていると看做す点では、ネイティブ・ハワイアンの教えとされる「ホ・オポノポノ」(参照記事)と通じるものがあろう。

 そして広瀬さんの話は、彼女自身の人生のミッションへと発展していった。「音楽は、人生を楽しく豊かにするためのスイッチだと思うんです。現代は悲惨な出来事も多い、暗い時代ですよね。でもそこに音楽があることで、良いアドレナリンが出るのではないでしょうか? 音楽にはそれだけのパワーがあるって思うんです。

 私は、自分の音楽やTwitterでのつぶやきを通じて、微笑みを生んでゆきたいと思っているのです。孤独な人、寂しい人に微笑みをあげたい。それが私の人生のミッションでもあります。だから私は、どんなに悲しい曲であっても、最後の部分で光が差し込むようにしているんです」

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.