円安を好感して買い先行で始まるも目先筋の利益確定売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年12月17日 17時08分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
前のページへ 1|2       

明日の相場雑感

 最近は米国市場の動向と関係なく、為替動向の影響で動くことが多いのですが、本日も買い先行で始まり堅調となりました。ただ、節目と見られる10200円台半ばでは上値も重く、目先的な需給は決して好転しておらず、為替が円安に振れた割りには輸出関連銘柄を買い切れず、上値の重い展開となり、最後は見切り売りに押されて軟調となりました。昨日、自己資本規制の延期を好感して大きく買われた銀行株も早くも利益確定売りや戻り売りに押されて軟調となり、指数の上値を押さえると同時に地合いの悪さを物語っていました。

 好材料に反応しても本当に長続きしない相場が続いています。それだけ目先筋が中心となっているということなのでしょうし、政策の方向感が見極めきれず、明日になると何が変わるかわからないので今のうち売っておこうという動きが多くなっているものと思います。政府の話も人によって意見が違い、誰かが話すたびに違う方向に持っていかれるという状況で安心して買い切れないということだと思います。

 ただ、米国で景気が回復、徐々に個人消費や雇用も改善されていることは事実であり、中国やインドを中心とした新興国の経済はしっかりと拡大を続けていることは確かなことです。ですから、このままであれば特に対米ドルに対しては大きく円高に振れる可能性は低く、どちらかと言えば円安方向に振れるのではないかと思われます。また、銀行の自己資本規制延期も増資懸念で売らることがなくなり、貸し出し増加も望め、銀行株にも銀行から借り入れをする企業にとっても、個人にとってもメリットの大きな話なのです。

 したがって、銀行株なども今後見直してもいいのかもしれませんし、新興国で活躍している企業は円安ということもあり、収益が拡大する可能性が高いということになります。また、米国と同じように輸出企業の業績が回復して来れば、そこで働く人達の賃金も上がり、リストラの不安が薄れ個人消費も伸びてくるかもしれません。そしてボーナスが増えれば、高額品への消費も喚起されるかもしれませんし、雇用に不安がなくなり、銀行から借り入れがし易くなれば住宅などの購入も増えるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.