円安を好感して買い先行で始まるも目先筋の利益確定売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2009年12月17日 17時08分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 10163.80円 ▼13.61円
売買高 18億9703万株
日経平均先物 10150円 ▼30円
売買代金 1兆2191億円
TOPIX 896.28 ▼2.01
値上がり銘柄 662銘柄
東証マザーズ指数 399.56 ▼7.18
値下がり銘柄 871銘柄
日経ジャスダック平均 1155.41円 △1.32円
変わらず 149銘柄
騰落レシオ 87.05% △1.73%

日経平均

円安を好感して買い先行で始まるも目先筋の利益確定売りに押されて軟調

 米国市場は景気回復を確認しつつあるものの、金融緩和の「出口戦略」が取り沙汰されてまちまちとなりましたが、日本市場は円安に振れたこと、円安の傾向が続くと見られたことから輸出株を中心に買い先行の始まりとなりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が買い越しと伝えられたこともあり、寄り付きからの買いが一巡した後も堅調な動きとなりましたが、昨日大幅上昇となった銀行株などは早くも利益確定売りに押されて軟調となり、輸出株なども上値を買い上がる動きはなく、指数の上値も重く、上値の重さが確認されると目先筋の売りもあって上げ幅縮小となりました。

 後場も売り物がちの始まりとなりましたが、大きく下押すこともなく、指数は方向感なく小動き、最後は見切り売りに押されて軟調となりました。為替は昼の間にも円安方向に振れたのですが、相変わらず政策が迷走、先行きの見通しが立たないことなどが嫌気されて、積極的に買い上がるような動きはなく上値の重い展開となり、最後は見切り売りに押されて軟調となりました。売り急がなければならない材料もないのですが、買い急ぐ材料もなく、上値を買い上がるほど現状の商品市況の好転や円安、米国での景気回復も確信が持てないということなのでしょう。

 小型銘柄は引き続きまちまちとなりました。当初マザーズ指数は値動きの良い主力銘柄に乗り換える動きなどに押されて大幅安、二部株指数は横ばい、日経ジャスダック平均は小幅高となりました。先物も散発的にまとまった売り買いは見られるものの、追随する動きも、積極的に売り叩く、あるいは買い上がるような動きはなく、目先筋の小掬い商いが中心となっていたようで、方向を示すような動きはありませんでした。

 好材料への反応が今一つ鈍いようです。本来であれば、昨日の銀行のニュースに円安、と来れば大きな上昇となってもおかしくはないのですが、目先的な需給悪や先行きへの不安から買い切れず、上値の重さを見ると慌てて利益を確保する動きに出てしまうということでしょう。相変わらず市場参加者が限られているということなのでしょうし、少しは株価対策のような政策をちらつかせてくれてもいいのではないかと思います。ただ、米国景気が回復していることや足元の企業業績が日米共に回復していることは確かなことで、早晩見直す動きも出て来るものと思います。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 引き続き雲の上限を抜け切れず上値の重さを確認する格好となりました。遅行線も雲を抜けず、RSIには上値余地があるのですが下落を示唆しており、ストキャスティックスも高値圏からの調整を示唆しています。遅行線が雲のねじれ日柄にあたる来週初めには動きが出る可能性もありますが、ストキャスティックスなどが落ち着くまでは日々線が雲の中での動きが続くのではないかと思います。

TOPIX

NYダウ

 雲の中で上値の重い展開となっています。RSIには上値余地もあるのですが、下落を示唆しており、ストキャスティックスも高値圏からの調整となっています。RSIやストキャスティックスが落ち着くまでは雲のなかで底堅さを確認する動きとなるのでしょう。

円相場

NYダウ

 遅行線が日々線に上値を押さえられています。日々線も雲を意識して上値が重くここが正念場ということなのでしょう。RSIにもストキャスティックスも上値余地はあるのですが、ストキャスティックスには調整不足は否めず、遅行線が日々線に上値を押さえられながら調整が続くのでしょう。

銘柄ピックアップ

円安に反応して買い先行となるも買いが続かず

富士通(6702) 582 ▼1

 「次世代スーパーコンピューター」事業が2010年予算で認められたと新聞で報じられ好感する買いが入り堅調となりました。為替が円安に振れて電機株などに買いが入りやすかったことや予想PER(株価収益率)などから見て割安感が強いことも買い要因とされましたが、昨日の大幅高もあり、上値の重い展開となり最後は軟調となりました。

東  レ(3402) 505 △12

 米ボーイング社が大量に炭素繊維を使用している、最新鋭の中型旅客機が初飛行を終えたことで、炭素繊維の需要が膨らむとして外資系証券が投資判断を引き上げたことが好感されて堅調となりました。

日産自(7201) 737 ▼3

 為替が円安に振れて輸出株を買う動きとなったことに加え、中国の合弁会社が販売目標を引き上げたことが好感されて買われましたが、目先筋の見切り売りに押されて最後は軟調となりました。

住友鉱(5713) 1406 △23

 米国市場で金先物価格が上昇、非鉄市況が反発となっていることに加え、円安を好感する動きもあって堅調となりました。金先物価格が調整となって、株価が調整となったことの反動もあって反発となったものと思います。

三菱商(8058) 2225 ▼20

 海外市場で原油価格など商品市況が堅調となったことや昨日の相場でも上値が重く、出遅れ感が強かったこともあり、買い先行で始まりましたが、持高調整の売りや目先筋の売りがかさみ、好材料にもかかわらず軟調となりました。

菱地所(8802) 1492 ▼41

 円安に振れて輸出株が買われるなかで、昨日までの上昇の反動やオフィス空室面積が都心で過去最大になったと伝えられたことから、賃料下落からの収益悪化懸念が強まり、売り急ぐ展開となりました。

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