米マサチューセッツ工科大学は12月15日、電動アシスト機能や通信機能を持つ多機能な自転車のホイール「Copenhagen Wheel」を発表した。
このホイールは一般的なホイールと比べてハブが大きいが、普通の自転車の後輪と交換できるようになっている。ハブには電動アシスト機能やセンサー、GPS、通信機能が備わっている。
電動アシスト機能は、ブレーキをかけることで発電できるシステムを採用している。F1カーで使われているKERS(運動エネルギー回収システム)と似た技術を使って、ブレーキをかけたときに生じた運動エネルギーを電気モーターで回収してバッテリーにためるという。ためた電気は加速が必要なときなどに使える。
電動アシスト機能の操作はスイッチやダイヤルではなく、ペダルで行う。ペダルを逆方向にこぐとブレーキで発電ができ、ペダルを速くこぐと電動アシストを使える。
センサーは自転車の速度、方向、走行距離、空気の汚染度、温度や湿度、騒音レベルを検出する。友人が近くにいるかどうかも分かるという。計測したデータは、ハンドルに取り付けたiPhoneにBluetoothで送信できる。
盗難対策も施されており、「盗まれそうになると、ブレーキが最大量の電気を発電するモードになり、持ち主にメールを送る。最悪の場合でも、持ち主が自転車を取り戻す前に、泥棒がバッテリーを充電してくれているだろう」とプロジェクトの担当者は語る。
MITはCopenhagen Wheelの試作機を、伊Ducati Energia(バイクメーカーDucati傘下の企業)、イタリア環境省と協力して開発した。2010年に生産に入る見込みで、価格は一般的な電動アシストホイールと同等になるという。
デンマークのコペンハーゲン市がこのプロジェクトのスポンサーについており、同市は既に市の職員向けにこのホイールを発注している。同市は先ごろ開催された国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の開催地で、2025年に世界初のカーボンニュートラルな首都になることを目指している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング