好調な経済指標もあり、「出口戦略」が取り沙汰されてまちまちの展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月17日 08時43分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10441.12▼10.88

<NASDAQ>2206.91△5.86

<為替:NY終値>89.78-89.84

好調な経済指標もあり、「出口戦略」が取り沙汰されてまちまちの展開

 朝方発表になった消費者物価指数や住宅着工数が予想を上回ったことで景気回復、デフレ脱却が鮮明となったとして買い先行となりました。一方で、景気底入れ、デフレ脱却ということから金融緩和の「出口戦略」も取り沙汰されて、FOMC(公開市場委員会)の発表を前に小動きとなりました。FOMCの発表があり、これまでのFRB(連邦準備理事会)のスタンスに変化がないことが確認されて、買われる場面もあったのですが、長期金利が上昇したことを嫌気する動きもあり、ダウ平均は軟調、ナスダック指数も上げ幅を縮小して引けました。

 引き続き経済指標が好調となっていることから金融緩和の「出口戦略」が取り沙汰されると同時に長期金利の上昇が見られました。個人消費や雇用にも改善の兆しが見えており、クリスマス商戦が好調となるようであれば、一段と「出口」論議が高まって来るものと思われます。長期金利の上昇が続けば影響もあるのでしょうが、まだ景気の回復を織り込む段階であり、金融緩和が解除されるにしてももう少し先だと思われ、ここからは個人消費の回復が鮮明になってもまだ株価にはプラスに働くものと思います。

 個別には、前日引け後に予想を上回る決算を発表したアドビ・システムズが買われたのですが、全体に方向感はなく、原油価格が堅調となりシェブロンは堅調となり、エクソン・モービルは軟調、スリーエムは売られてアルコアは高いなどまちまち、あるいはほとんど横ばいとなる銘柄が多く見られました。バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど銀行株や金融株は高くなりましたが、指数を押し上げるようなとこまでは買われませんでした。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は銀行の資本規制延期報道や円安を受けて買い先行となり、一時大幅高となるなど堅調な展開となりました。持高調整と見られるハイテク銘柄などへの売りで上値を押さえられる場面もありましたが、円安がカバーする格好で底堅さも見られ堅調な地合いが続きました。先行きの不透明感は強く積極的に買い切れない感じもあり、水準訂正とはなりませんでしたが、売り急ぐ動きも限定的でした。

 米国市場はまちまちとなりましたが、順調に景気の回復も見られ、為替も円安振れたことから日本市場は引き続き堅調な地合いが続くものと思われます。米国では金融緩和の「出口戦略」が取り沙汰され始めましたが、日本はまだまだ「デフレ」脱却の兆しも見えておらず、超低金利継続、円安メリット銘柄を物色する動きとなるのでしょうし、引き続き銀行株なども強含みの展開が続き、「超低金利・円安」を評価する動きとなるものと思われます。

 日経平均も10200円水準で上値を押さえられ、TOPIXも900のところで上値を押さえられた格好ですが、本日も引き続きその水準を抜けるのかどうかが注目されます。円安やでデフレ対策、銀行の自己資本規制延期などの材料に反応して引き続き強含みとはなるのでしょうが、政策面での方向性、実現性が見えないことから、積極的に買い上がる動きは依然として期待は出来ず、日経平均の10200円台、TOPIXの900を超えた水準では上値も重くなるものと思います。

本日の注目点

◇日銀政策委・金融政策決定会合(18日まで)

◇7−9月期の資金循環統計速報(日銀)

◇東証1部上場:日本海洋掘削(1606)

◇9−11月期決算:米オラクル

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