先週最も読まれた記事は「『会社を辞めたい』と感じているのは、どの業種で働いている人?」。2位は「なぜ朝日新聞の記者は、高い給料をもらう“権利”があるのか? (7)」、3位は「冬のボーナス、最も少ないのはどこに住んでいる人?」だった。
郷好文さんの記事「もはや100円でも売れない……自販機不況に活路はあるか?」に刺激を受けた筆者は、先週のトップ10で日本一安い自販機を探した。しかし、安いものだけを調べていてはフェア(?)と言えない。その逆、日本一高い自販機も探さないといけないだろう。
高い自販機と言えば、ホテルやスキー場など、リゾート地のものが有名だろう。商品の補給が難しかったり、競合がいなかったりすることから、通常の倍以上の価格で販売している自販機も珍しくない。山頂付近などでは、二重の意味で“高い”自販機が置いてありがちだ。
しかし、いくつかの口コミ情報を調べてみると、どうも日本一高い自販機はそうしたリゾート地にあるのではなく千葉県船橋市にあるという。いったいいくらで商品を販売しているのか? それを確認するため、筆者は実際に行ってみることにした。
JR総武線の西船橋駅を降り、南西に10分ほど歩くと、問題の自販機を置いているという「トクジロー西船橋店」に着く。ゲームやカードなど、おもちゃの新古品を取り扱っている店で、木造の建物からはどことなくこだわりの香りが漂ってくる。
どこにその自販機があるのかと思いつつ店の入り口に向かうと、そこで挑戦的な貼り紙を発見する。ファストフード店や衣料品店が低価格をうたい、「安いものこそ正義」というデフレの世の中で、「日本一高いジュース」と堂々と主張しているのだ。
貼り紙の近くの自販機を見た筆者は、驚きの価格を目にする。350ミリリットルのジュースが1本1000円である。そして、その価格表示でも「日本一高いジュース」と念押ししている。
しかし、よくよく見てみると、実はこれは自販機を利用したくじ引きという仕掛けになっている。この自販機のジュースを買うと、商品にくじがついてきて、くじの等級に応じた賞品がもらえるようになっているのだ。
複数の商品が用意されており、一番上の特賞が当たると『新世紀エヴァンゲリオン』仕様のPSP(プレイステーション・ポータブル)などがもらえるようだ。300円、500円、1000円と3種類のジュースがあり、価格の高いジュースほど高級な賞品が当たりやすくなっていると書いている。特賞〜2等が当たった人は記念写真を撮るのがしきたりらしく、自販機には喜びの写真が30枚ほど貼ってあった。
「こんな怪しいもの誰が買うんだ」と思い、物陰から様子をうかがっていると、意外にも何人か買っている人がいた。ある家族連れは最初に300円のジュースを買って外れたのが悔しかったらしく、次に500円のジュースにも挑戦していた。
「これを買うのはさすがにありえねえ」と筆者は2時間くらい迷ったのだが、「ボーナスも出たことだし……」と何とか自分を納得させ、意を決して1000円のコーヒーを買ってみることに。実際にPSPが当たれば、1000円の投資なんて安いものだ。
購入したエヴァンゲリオンのコーヒー缶に付いていたくじは「UP賞」なるもの。解説を見てみると、この店でゲームやCDなどを売る際、価格が10%増しになるという。残念ながら、近くに住んでいない筆者にはまったく使えない代物だ。
価格.comをチェックすると、PSPの最安値は1万5000円弱。冷静に考えると、1000円のジュースとはいっても、15本に1本より低い確率で当たるようにしなければ採算的に苦しい。そう簡単に当たるはずがないのだ。
とはいえ、当たりを引けなくても、買うこと自体がエンターテインメントになるので、ワクワクできるし、思い出にもなる(ような気がする)。複数の店舗で展開すると価値が落ちるため、大規模チェーン店にはできないことなので、小規模店がデフレ時代を生き抜くためのヒントのようにも感じた。店員さんに始めたきっかけを聞こうとすると、「ふふふ」とごまかされてしまったが……。
ただ、個人的には、12月なのにコーヒーがCOLDなのはやめてほしいと思った。
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