「出口戦略」が懸念されて利益確定売りに押される清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月16日 08時27分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10452.00▼49.05

<NASDAQ>2201.05▼11.05

<為替:NY終値>89.6-89.66

「出口戦略」が懸念されて利益確定売りに押される

 朝方発表になった鉱工業生産指数や卸売物価指数が予想を上回ったことから、金融緩和の「出口戦略」が取り沙汰され売り先行となりました。指数が高値圏にあったことで利益確定売りもかさんだものと思われますが、FOMC(公開市場委員会)が開催されていいる中での発表だけに思惑を誘ったようです。ただ、一方でニューヨーク連銀景気指数が予想に反し大幅に低下したこともあり、金融緩和継続との見方もあって底堅さも見られました。欧州での金融不安が燻っていることも銀行株などの売りにつながり指数の上値を押される要因となりました。

 足元の経済指標は好調、金融緩和の効果が見られるのですが、景気指標に陰りが見られ、強弱感が対立する場面もありました。金融緩和は継続されるのでしょうが、個人消費の改善次第では案外早く景気回復が確認されて、「次」の段階となる可能性もありそうです。まだまだ新興国などの海外の景気回復が牽引、輸出企業の業績回復で経済指標が改善している面が強く、「出口戦略」を取り沙汰するには早いような気がしますが、米国経済も金融不安はまだ燻ってはいるものの立ち直りが鮮明になっているような感じです。

 個別には欧州で金融不安が燻っていることから、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど銀行株、金融株が軟調、鉱工業生産指数が予想を上回ったのですが、ドル高を嫌気する動きや利益確定売りに押されてボーイングやキャタピラーなど主力大型銘柄も軟調となりました。インテルやIBMなども利益確定売りや景気指数の悪化を受けて軟調となりました。原油価格は上昇となったのですが、シェブロンは堅調となったもののエクソン・モービルは売られ、石油株の反応もまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は手掛かり難から小動きとなりました。米国株は堅調となったのですが、為替が円高に振れたことで反応できず、相変わらず政策の方向が見えないことで、積極的な売り買いが手控えられて方向感に乏しい展開となりました。それでも10000円の節目を意識すると底堅く、個別の材料で反応するものもあり、センチメントが悪化しているということもありません。持高調整の売りもなく底堅い展開が続いています。

 米国市場は軟調となったのですが、為替が円安に振れたことから、日本市場は買い先行となりそうです。欧州を中心に金融不安もまだ燻っていますが、景気回復を織り込む動きも見られ、相対的に出遅れ感のある日本市場も底堅さは見られるものと思います。ただ、積極的に買い上がるだけの材料には乏しく、日米関係に対する懸念や政策の不透明感は引き続き上値を押さえる要因となるものと思います。円安メリットのある輸出関連銘柄、新興国などに強い銘柄などが物色されるものと思います。

 日経平均の10000円水準は何とか下値の節目となりつつあるようです。10000円水準での下値が固まると今度は上値の節目である10200円水準を抜けるのかどうかを試すことになるのでしょうが、一気に抜けるためには為替が1ドル=90円を超えて落ち着くことが必要だと思います。本日も円安を好感して上値を試す動きもあるのかもしれませんが、10000円水準での底堅さと10200円水準を抜けて引けるのかどうかが大いに注目されます。買い手掛かり難の中で抜けて来るようであれば今度は10100円台半ばから200円台半ばでの下値固めとなるのでしょう。

本日の注目点

◇10月の第3次産業活動指数(経産省)

◇10月期決算:エイチ・アイ・エス(9603)、クミアイ化学工業(4996)

◇欧州中銀(ECB)が最後の1年物資金供給

◇11月の米消費者物価指数

◇11月の米住宅着工件数

◇7−9月の米経常収支

◇7−9月の豪GDP

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