金融不安も後退し、業績回復を織り込む展開に清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月15日 08時34分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10501.05△29.55

<NASDAQ>2212.10△21.79

<為替:NY終値>88.59-88.65

金融不安も後退し、業績回復を織り込む展開に

 アブダビ首長国が援助を表明したことでドバイ不安も後退、買い先行となりました。ハイテク銘柄に投資判断の引き上げなどもあり、全般的に底堅い堅調な展開となったのですが、積極的に買い上がるだけの材料にも乏しく、指数の上値も限定的となりました。それでも業績回復が鮮明になるなかで、買い直される銘柄も多く、特に突出して高い銘柄があるというよりは全般的に底上げとなるような雰囲気でした。

 信用不安が薄れると投機的な資金の流入もあり、市場全体が底堅くなるようです。景気回復を織り込む動きとなっており輸出企業などを中心に堅調となっています。ただ、逆に言えば指数が上値を追うような展開となるためにはやはり個人消費の回復が鮮明になる必要があり、クリスマス商戦の動向次第で市場の雰囲気も変わって来るものと思われます。M&A(合併・買収)の動きが出たり、金融機関の公的資金返済の動きがあったりと資金の流れは良くなっており、個人消費の回復も近いのかもしれません。

 個別にはシティグループが公的資金を返済すると表明、シティグループ自体は自己資本比率の減少を嫌気されて大幅安となりましたが、JPモルガン・チェースなど金融株はドバイ問題の一服もあり、堅調なものが多くなりました。投資判断が引き上げられたアップルが堅調、信用不安が薄れたことで業績回復銘柄を買い直す動きも強く、アルコアやキャタピラーなど大型株も高く、HP(ヒューレット・パッカード)やインテル、IBMなどハイテク銘柄も堅調、あるいはこじっかりとなる銘柄が多くなりました。原油価格の下落やM&Aに絡む資金負担が嫌気されてエクソン・モービルが大幅下落となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の大幅高の反動や為替が円高に振れたことを嫌気して軟調となりましたが、ドバイの債務不履行が回避されたことなどから買戻しも入り底堅い展開となりました。朝方発表された日銀短観も業況判断DIなどは予想を上回ったのですが、景気の回復を示す一方で回復力の弱さを示すとして、好感されることはなく、景気回復の鈍化を嫌気する動きとなりました。

 米国市場が堅調となったことや為替の落ち着きもあり、日本市場も底堅い展開となりそうです。ただ、信用収縮懸念が薄れたとは言え、景気回復の鈍さや政策の方向性が見えない状況は変わらず積極的に上値を追うような展開にはならないものと思われます。新興国の景気回復の恩恵を被るような銘柄は買い直される場面もあるのでしょうがデフレ脱却のきっかけも見えないことで、内需株などは好材料が出ても上値を追い難いのではないかと思います。新興国を中心とした輸出関連銘柄に期待したいものです。

 日経平均は何とか10000円水準を保ち、底堅さも見られましたが、引き続き10000円台を固める動きとなりそうです。景気回復の度合いを考えると輸出関連株で指数を押し上げなければならないのですが、そうなると為替がネックとなり、上値も重くなりそうです。政策の見通しが全く見えず、予算の見通しも見えないことから、指数も上値は限定的となりそうです。年末ということもあり、目先的な需給も積極的な売り買いは手控え気味となる可能性もあり、持高調整の売りなどに押される心配はない代わりに買い方もあくまでも限定的で10200円台半ばの節目を抜けて買い上がるほどの積極性は見られないでしょう。

本日の注目点

◇10月期決算:イハラケミカル工業(4989)

◇米連邦公開市場委員会(FOMC、16日まで)

◇アジア開発銀行が東アジア新興国・地域の成長率見通しを発表

◇11月の米卸売物価指数

◇11月の米鉱工業生産指数

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.