『大人の科学』二眼レフカメラを再改造、しかし写りは……-コデラ的-Slow-Life-

» 2009年12月14日 08時00分 公開
[小寺信良,Business Media 誠]

 それなりに写るのだが、スクエアに切ったマスクの光漏れが激しいのが難点のGakkenflex。やはり中身は黒くしておかないと、つるつるした本の裏表紙ではいかんともしがたいようだ。

 →『大人の科学』の二眼レフカメラを作ってみた

 →『大人の科学』二眼レフカメラでスクエア撮影してみた

 100円ショップで「何か代わりに使えるものはないかな」と物色したところ、自家製本用に使う「製本テープ」というのが売っていた。幅が50ミリあり、色もつや消しの黒である。さっそくこれを購入。

マスキングに最適? 100円ショップの製本テープ

 そして、フィルム押さえ板のほうだが、これも「もうちょっと気の利いたものはないか」と探したところ、やはりこちらも幅50ミリの黒いマジックテープを見つけた。マジックテープはイガイガとフカフカの組み合わせなわけだが、このフカフカの方をフィルム押さえに使ってしまおうというわけである。

フィルム押さえとして、幅広のマジックテープを採用

 早速、前回作ったマスクを型紙代わりにして、製本テープをカットする。同様にフィルム押さえ板も合わせてカットする。両方とも裏側がシールになっているので、貼り付けも簡単だ。

ちょっとたるみが気になるが、まあよしとしよう

 また、フィルム送りにも若干細工を施した。フィルムを送るときの目印として、ボディ横にはスプロケット※の回転に合わせた目印の溝がある。このスプロケットが半回転した時に、ちょうど写真1枚分のフィルムが送られるわけである。しかしこの1枚分とは、通常の3:2サイズの場合である。

※スプロケット……チェーンと組み合わせて動力を伝える歯車のこと。

 スクエアフォーマットで撮れるように改造したこのカメラでは、3:2サイズでフィルムを送ると、写真と写真の間が空きすぎてもったいないことになる。長さ方向が短いので、もっとたくさん撮れるはずなのだ。

 そこで、いらなくなったフィルムを装填して、スクエアフォーマットがきれいに1枚分送れるぐらいの回転数を測定した。するとどうやら、3:2では1回転で2枚撮れるところ、スクエアフォーマットでは3枚撮れるようだ。そこでスクエアフォーマット用に、目印の溝を追加した。

フィルム送り部に切り込みを入れてスクエアフォーマットに対応

光漏れはなくなったが

 改良したGakkenflexで再度撮影開始である。相変わらずピントの山は見づらいが、さらなる問題は、斜光の時に撮影すると、ファインダーボックスが隙間だらけなので、そこから光が入り込んでしまって、スクリーン面が見えないことである。このあたりはやはり、本物の二眼レフカメラの作りにはかなわないところだ。

 前回は結構手ブレが多かったので、今回は慎重に撮影した。Gakkenflexのシャッターは、最初に軽く引っかかりが外れたような手応えがある。その時にカメラが揺れる。もっと重たいカメラなら、それくらいの反動で揺れたりしないのだが、なにせ全体がプラスチックなので、ちょっとした反動でも揺れてしまうのである。かなりしっかり握って、慎重にシャッターを下げる必要がある。

 現像上がりを見てみると、マスクの外側への光漏れはなくなったようだ。ただ、フィルム送り時のスプロケットが空回りすることがあって困った。マジックテープによる押さえ板の幅は、スプロケットの歯車に当たらない幅で切ったのだが、後でもう一度実験した結果、もうフィルム全面ベタッと押さえてしまった方が、空回りがなくなるようだ。

 相変わらず味のある絵が撮れるのだが、中央部のボケは治らなかった。これはもうレンズの特性なのかもしれない。フィルム1本のうち、何枚かこういうのがあるだけなら「味」で済まされるのだが、ほとんどこんな感じなので、「結構厳しいかなぁ」というのが正直なところである。さすがにレンズ1枚きりのカメラでは、こんなところが限界かもしれない。

真ん中だけボケる傾向は変わらず
手作り感あふれる写真ではあるが……

 「へーこんなので写るんだー」という素朴な驚きはあるのだが、やはりカメラはある程度ちゃんと写る方がいい。古くてもしっかり撮れるカメラの方が、筆者的には面白いと感じる。

小寺 信良

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映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。最新著作はITmedia +D LifeStyleでのコラムをまとめた「メディア進化社会」(洋泉社 amazonで購入)。


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