はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2006年8月5日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
ファッション雑誌のコピーに「プチセレブな通勤ウエア」というのがあって笑えました。真面目に書いているのか、それともダジャレなのか。
そもそも通勤するのは“セレブ”ではなくて“会社員”です。これだとそのうち、「プチセレブな消費者金融との付き合い方」とか「プチセレブのロト6必勝法」などが特集されるかもしれません。
とある高級アパレル会社の人が「うちのドレスを買って、クリーニングに出したら縮んだとクレームをつけてくるお客さんがいて困る」と言っていました。
彼いわく「うちのドレスは、洗濯して何度も着ることを前提として作っていない」とのこと。数回着たら次のドレスを買う人を想定して作られた服を、「これは高かったから……」とイベントごとに着て、クリーニングに出して、太ったらサイズ直しにまで出してくる。高級ブランドの服では、そういう着方が前提とされていないからこそ実現できるデザインや素材を採用しているのに。
外反母趾(がいはんぼし)も同じでしょう。足先が細いハイヒールを長時間履いていると、親指が曲がってきて、ひどくなると手術が必要になる。
しかし本来、「ハイヒールを履いて、毎日地下鉄を乗り継いで通勤する」「ハイヒールを履いて1日中働いている」ということは想定外です。もともとああいう靴は「不労所得」で食べている人のために作られていて、出かける時は馬車かハイヤー、舞踏会(遊びのイベント)の間だけハイヒールを履くと想定されている。
身もふたもない言い方ですが、労働者層の人が貴族向けの靴を無理して1日中履いているから、足の指が曲がってしまう。
毛皮も同じですね。あれを着て満員の地下鉄に乗る人を見ますが、周りの人に毛がついて迷惑だし、毛皮もすり切れます。そもそも「着て、公共交通機関に乗る」ことが想定されてない素材なのです。
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