欧州での格下げ、金融不安から軟調となるも値ごろ感からの買いも入り堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月10日 08時42分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10337.05△51.08

<NASDAQ>2183.73△10.74

<為替:NY終値>87.89-87.95

欧州での格下げ、金融不安から軟調となるも値ごろ感からの買いも入り堅調な展開

 スペインやUAE(アラブ首長国連邦)の政府系企業の格下げなどが取り沙汰されて軟調な始まりとなりました。その後、投資判断の引き上げや昨日の反動からの買い戻しが入り堅調となる場面もあり、そして、その後はまた信用不安から売られるといった乱高下となりました。結局最後は値ごろ感からの買戻しなども入り堅調となりましたが方向感のない動きとなっています。格下げや格付け見直しなどが喧しく取り上げられていますが、今のところは景気回復の腰を折るというほどの影響は少ないと見られており、リスクマネーが収縮する動きは見られるのですが、パニック的な売り方とはなっておらず、事態の収拾を待ちたいということではないかと思います。

 信用不安も現状では大きな広がりとなる気配はなく、景気回復傾向に変わりはないとの見方が多いようです。今後もクリスマス商戦などから個人消費の動向を探る動きとなるものと思われ、個人消費の回復が示されるようであれば、金融不安も薄れて来るものと思います。ダウ平均も節目と見られる10200ドルを割り込まない限り上昇トレンドが続いていると見られ、この日も10200ドルを意識するところでは買いも入り底堅い展開となりました。

 個別には投資判断の引き上げのあったスリーエムが大幅高、原油価格などは軟調ですがシェブロンが高く、商品市況が全般に軟調ななかでアルミが高いということで、アルコアも堅調となっています。金融株は小動きとなり、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカが小幅安となり、アメリカン・エキスプレスは小幅高となっています。インテルやIBM、HP(ヒューレット・パッカード)、シスコシステムズなどハイテク銘柄は総じて堅調、ファイザーやクラフトフーズなどディフェンシブ銘柄も堅調なものが多くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場はギリシャの格付け引き下げなど信用不安から欧米の株式が大きく下落したことを受けて、売り先行となりました。為替も円高に振れたことで、輸出関連銘柄や銀行株などを中心にほぼ全面安となりました。それでも外国人が買い越し基調と伝えられたこともあり、大幅下落とはなったものの節目と見られる10000円水準では底堅さも見られ、好材料が出た銘柄は堅調となるなど下値をむきになって売り叩くものは限られていました。

 欧米市場は底堅さも見られるもののもたついた展開が続いていますが、日本市場も為替が円高に振れたことから売り先行となりそうです。ただ、米国市場も欧州での格下げの問題などは影響も限定的と見られて堅調となっており、朝方発表される機械受注統計が予想(-4.6%:QUICK社)通りか予想を上回るようであれば、新興国関連銘柄などから戻りも期待できるかもしれません。昨日発表された工作機械受注や産業機械受注は依然として前年同月比でマイナスではあるものの、新興国を中心に外需はプラスとなっており、新興国を中心に景気の回復が見られ、新興国を中心に売上を伸ばしているような銘柄は注目されるのではないかと思います。

 日経平均は為替が円高に振れたこともあり、10000円を超えると売りが出るということになりそうです。一方で、底堅さも見られるものと思われ、9900円台では買いも入るのでしょう。朝方発表される機械受注が予想を下回るようであれば円安に振れて指数は反発となるのでしょうし、逆に上回るようであっても円高はそれほど進まないということになるものと思われます。昨日の大幅下落の反動もあり、底堅い展開となりそうです。

本日の注目点

◇11月の企業物価指数(日銀)

◇10月の機械受注(内閣府)

◇11月のビール系飲料出荷量(大手5社)

◇11月の中古車登録台数(日本自販連)

◇英イングランド銀行が金融政策委員会

◇11月の米財政収支

◇10月の米貿易収支

◇決算・8−10月期:ドクターシーラボ(4924)

◇決算・2−10月期:ACCESS(4813)、東京ドーム(9681)

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