広告シーンを変える“キャラクター”起用の現状(2/4 ページ)

» 2009年12月10日 08時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

CMでキャラクターを起用することのメリット

鷹野 CMでキャラクターを起用することのメリットはどんなところにあるのでしょうか。これはやはり、スキャンダルなどがないということ、そして急激なイメージダウンの心配がないということにあります。タレントだと、スキャンダルがない場合でも急激にイメージダウンしたり、ほかの何かをすることによってタレント自身のイメージが変わってしまったりします。もっと言えば、ほかの広告に出ることによって、その影響でもともと出ていた広告のイメージが変わってしまうということもありえます。キャラクターだと、そのイメージは比較的安定的に保たれますよね。

 また、キャラクターだとテレビCM以外のセールスプロモーションでも活用しやすいので、立体的な展開が容易になってくるというところもメリットと思います。

 キャラクターの起用については、大きく2つに分けられます。1つは、サザエさんがJAバンクのCMに出ていたり、釣りバカ日誌が「ソルマック」(大鵬薬品工業)のCMに出ていたりというように、アニメなど既存のキャラクターを使用している例。もう1つは、ダイハツ工業のカクカクシカジカや、桃屋の「ごはんですよ!」のキャラクターのような、オリジナルのキャラクターを使用している例ですね。それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。

出典:大鵬薬品工業

 まず、既存のキャラクターを使う場合ですが、これは有名タレント同様に「最初からみんなが知っている、なじみのあるキャラクターである」ということがメリットになります。一方、これはタレントも似たようなところがあるのですが、宣伝する商品や企業に結びつけるために、ある程度の広告量を投入しないといけないということがあります。

 冒頭で「サザエさんがJAバンクのCMに出ていますね」と話しましたが、そう言われても「JAバンクのCMでしたっけ?」と思われる方が多いのではないでしょうか。キャラクターのインパクトが強すぎると、商品や企業に結びつけられにくくなるというところがデメリットと思います。

 オリジナルのキャラクターの場合はどうか。メリットは、宣伝する商品や企業に合わせて、思いのままにキャラクターが作れるということです。そのため、自由度の高い広告展開が行えますし、縛りも非常に少なくなります。既存のキャラクターのように、(原作の展開などによって)イメージを変えられるということもないので、非常に自由度があります。

 その一方、デメリットとしては、既存のキャラクター以上に広告量を投下して露出させていかないと、キャラクターの認知度が上がらず、イメージ定着までに時間がかかってしまうということがあります。

 キャラクターを起用するに当たってのポイントを私たちが広告主さんとお話する時、最初に考えないといけないことは、これはタレントも同様なのですが、「ターゲットやイメージが商品や企業と親和性があるか」というところです。

 また、アニメのキャラクターなどは、しずる感※を訴えるような食品のCMには意外と使われていなかったりします。これはなぜかというと、生身の人間が「おいしい」と言うのと、アニメのキャラクターが「おいしい」と言うのとでは、伝わってくる感覚がかなり違ってくるからだと思います。そうした広告では、普段の生活背景を持つタレントの説得力と天秤をかける必要があると思います。

※しずる感:食品に生き生きとした実感があり、それを見るとすぐにでも食べたり飲んだりしたい気持ちにさせるような状態。

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