強弱感が対立し方向感のない展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月08日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10390.11△1.21

<NASDAQ>2189.61▼4.74

<為替:NY終値>89.5-89.56

強弱感が対立し方向感のない展開

 先週末の雇用統計が予想を大きく上回り、景気回復のスピードが速いのではないかということで買い先行となりました。ただ、「出口戦略」が取り沙汰されてドルが高く、商品市況が軟調となったことから上値も限定的となりました。そうしたなかでFRB(連邦準備理事会)議長の低金利長期化を示唆するコメントが伝わり、低金利継続を評価する一方で景気回復の鈍さを嫌気する動きとなり、指数は軟調となる場面もありました。結局、強弱感が対立する格好で方向感はなく、ダウ平均は小幅高、ナスダック指数は小幅安となりました。

 景気回復のスピードが思ったより早いのではないかとの見方が強まり、出口戦略が取り沙汰され、金利と景気の綱引きとなっています。いわゆる「金融相場」から「業績相場」にうまく移行できるのかどうか、適度なインフレを伴う景気回復がベストのシナリオなのでしょうが、金融政策もここから正念場となりそうです。結局はクリスマス商戦が「適度に」好調、「足元は好調なのだが、まだしっかりとした足取りにはならない」と言うような状況がベストなのかもしれません。いずれにしても大きく下押すことはく、底堅い展開は続くものと思います。

 個別にもまちまちとなりました。原油価格や金価格が軟調となりエクソン・モービルやニューモント・マイニングなどは売られましたが、シェブロンは堅調となり、キャタピラーは軟調ですがボーイングは高いというようにまちまちとなっています。インテルやHP(ヒューレット・パッカード)、IBMといったハイテク銘柄は軟調、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も売られました。一方、ジョンソン・アンド・ジョンソンやクラフト・フーズなどディフェンシブ銘柄は堅調となり、相場の下支えとなっていました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の米国市場が堅調となったことや為替が大きく円安に振れたこと、また外国人も引き続き買い越し基調ということもあって、買い先行で始まり大幅高となりました。円安一服となったこともあり、上値の重い場面もありましたが、節目と見られる水準まで一気に戻りました。政府の経済対策などがはっきりとしないことで積極的に買い上がるところまでは行かず盛り上がりに欠ける展開となりましたが、日銀の金融緩和策を講じたことが評価さて堅調な地合いが続いています。

 米国市場は底堅いながらも上値の重い方向感のない展開となり、本日の日本市場も上げ一服となりそうです。為替も再び円高方向に振れたことや商品市況も軟調となったこと、また、昨日までの急騰で目先的な過熱感も出ていることからいったんは利益確定売り、戻り売りがかさむことになりそうです。輸出関連銘柄などの上値が重くなりそうですが、ディフェンシブ銘柄や内需株でどこまで下支え出来るかが注目されます。政府の経済対策もインパクトのあるものではなく、特に取り沙汰するようなものはなさそうですが、低金利継続や経済政策の恩恵を被る、住宅株などは注目されるものと思います。

 日経平均は10000円台を固める動きとなりそうです。節目と見られる10100円台半ばから200円水準まで一気に戻ったことでいったんは調整となるものと思います。10000円を固める動きとなるのか、もう一度9500円から600円水準まで押し目を確認することになるのでしょうが、取りあえずは10000円台を固める動きとなって、政策の先行きが見えない、あるいは為替が円高に振れるようであれば9500円水準まで下値を探りに行くということではないかと思います。オプションSQ(特別清算指数)算出を控えて、特に「10000円」と言う水準が意識されるかもしれません。

本日の注目点

◇11月の貸出・資金吸収動向(日銀)

◇11月のマネーストック(日銀)

◇11月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇10月の景気動向指数(内閣府)

◇10月の国際収支(財務省)

◇オバマ米大統領が経済演説(ワシントン)

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