コラム
» 2009年12月08日 08時00分 UPDATE

松田雅央の時事日想:電気自動車に乗ればCO2が増える? ドイツのジレンマ (1/3)

今でこそ電気自動車(EV)の話題を見聞きすることは珍しくないが、10年ほど前には“近未来カー”といったイメージを抱いている人も多かったのではないだろうか。今回の時事日想は自動車大国・ドイツでの、EV事情に迫った。

[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 今でこそEV(電気自動車)の話題を見聞きすることは珍しくないが、筆者がドイツに来た15年前の状況はずいぶん違っていた。当時の市民感覚だと、EVが普及した社会はほとんど「SFの世界」に近かったように思う。

 カールスルーエ・ソーラーカー協会が結成されたのは19年前のこと。EVが極めて珍しい時代にあって、ソーラーカーに興味のある市民が集まりEVの普及を目指し活動を開始した。

 今回の時事日想は、同協会の活動を通してドイツにおけるEVの現状をみてみよう。

開発ブーム

 筆者が住むカールスルーエ市で初めてEVを見たのは2001年のこと。市のエネルギー水道公社の消費者サービスセンター前で充電中の小型EVを見たのが初めてだった(関連記事)。後に知ったことだが、このドライバーもカールスルーエ・ソーラーカー協会のメンバーである。彼はこのEVを通勤に利用し、充電のため長さ10メートルを超えるコードを常備していると言っていた。職場の駐車場で充電する際、充電ボックス近くの駐車スペースが空いているとは限らないためコードを持ち運ぶのだという。コードの重量だけで燃費がすいぶん落ちてしまいそうだ。

 端的に書くと、それから9年経った今もEVはほとんど普及していない。小さなメーカーのEVは市販されているものの、現実的な価格の量産型EVはいまだ存在していないし、写真の充電ボックスも利用頻度が低いためいつの間にか撤去されてしまった。

 ドイツのEV開発は10数年前にブームを迎え、その後下火になっている。ドイツのEV開発ブームは日本より時期が早くベンチャー企業も生まれたが、今も生産を続けているところは少ない。EVが普及する前にハイブリッドが先行普及したため、勢いに乗れなかったようだ。カールスルーエ・ソーラーカー協会と協会員の所有するEVも10数年前のものが多い。

yd_matuda1.jpg 充電中の1人乗りEV(2001年に撮影)

 EVの普及に先立ち、必要となるインフラが充電設備である。家庭用コンセントを利用するEVであっても外出時の充電は必要になるし、できれば充電時間が短くて済む三相交流(3つの単相交流が組み合わされてできたもの)の方が都合良い。

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