コラム
» 2009年12月07日 07時43分 UPDATE

藤田正美の時事日想:ドバイの“火”は消えたのか……ジワジワと迫る二番底の影 (1/2)

アラブ首長国連邦・ドバイ首長国の金融不安がきっかけとなり、急激な円高・株安が進んだ「ドバイショック」。政府・日銀の対応を受け、過度な不安感はひとまず後退したが、ドバイの金融不安の火種はくすぶり続けているのかもしれない。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 日本のバブル期(1980年代)も今では考えられないような現象がいくつもあった。土地の価格は毎日のように上がっていたし、ゴルフ場にするための山林も考えられないような値段がついた。

 ドバイでも同じような現象があった。海に突き出した葉脈のようなところに居住用マンションやヨットハーバー、ホテルなどが林立する様に驚いた人も多かったと思う。バブルを経験している日本人は、その様子を見て「これはバブルだ」という感想を持った人が多いと思うが、バブルの最中にいる人にとってはバブルかどうか分からないものだと思う。

 「こんなことが続くはずはない」と考えていても、その中で儲けるチャンスをつかまなければならない人々にとっては、バブルがいつ弾けるかを心配してはいられない。むしろ「バスに乗り遅れてはならない」のである。

どのようにして財政赤字を解決するのか

 ドバイショックは結局は瞬間的なものに終わったようだ。システミックリスク(個別または市場の機能不全により、金融システム全体に波及するシステム)になるにはその規模はいかにも小さいと市場が判断したからである。しかし、表面的にはその通りでも実際には大きな傷跡を残しているのかもしれない。

 最大の問題はドバイワールドという国営会社の債務を国家が支援しないということだ。もちろん契約上、政府保証が付いていたわけではないようだが、100%政府が保有している会社に対して融資をするような場合、政府が明確に保証していなくても「政府保証が付いているも同然」と考えるのが普通だろう。政府保有会社はつぶれないし、つぶせない。

 ドバイは産油国ではないが、アブダビは大産油国で裕福だ。アラブ首長国連邦の1つであるドバイの国営会社だったら、大きな財布を持っているアブダビがバックについているとも言える。そこで生まれてくるのが、政府への融資リスクである。

 本来、借り手が政府の場合は、基本的に返済が滞るなどのリスクがないと考えるものである。しかしこれからはそうは言えないかもしれない。何と言っても、いま世界的に借金まみれになっているのは企業ではなく政府だからである。

 日本はすでにGDP(国内総生産)の160%を上回る金額の債務を抱えている。今のところ日本政府が発行する国債のほとんどは国内で消化されている。その意味では、日本政府が海外から「ノー」を突きつけられる可能性はまだ小さいが、これから先は分からない。

 税収の大幅な落ち込みによって、国債の発行高はこれから急増することは間違いないし、その一方でそれを吸収すべき貯蓄率は低下している。その意味では、日本政府がいままでのように国内資金に頼っていられるのかどうかは不透明であるということだ。

 中長期的に財政赤字をどのように解決していくのか――という方向性を示すことができるかどうかが問題だと思う。財政赤字を解決するには、税金を上げる、インフレを誘導して負担を実質的に小さくするというくらいの選択肢しかあるまい(「霞ヶ関埋蔵金」といっても、赤字の一部穴埋めにしかならないし、予算のムダをなくしても一方で大幅に増額する項目があるのだから、予算そのものが減ることにはならない。概算要求でそれがよく分かったはずだ)。

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