前日の大幅高の反動や週末と言う事で上値の重い展開となりましたが、昨日の上昇の割りには値持ちが良く、底堅い堅調な展開となりました。外国人が引き続き大幅買い越しと伝えられ、為替も円安に振れたことで、輸出株の一角が堅調となり、指数を下支えする展開となりました。先月までの持高調整と見られるような売りがなく、下値を売り急ぐこともないので値持ちが良いのでしょう。
昨日の相場で市場のセンチメントにも変化が見られたのかもしれません。ただ、「ローソク足」の形はあまりいいものではなく、目先的には1週間で1000円の上昇ということで、過熱感もあるものと思います。ただ、今年の7月の相場と同じ様に、いったん動き出すと流れが変わるまで時間がかかることが多く、売られ過ぎるところまで売られ、買われ過ぎるところまで買われる傾向にあるような気がします。「振れば土砂降り」ではないですが、動かない時は異常なほど動かず、動くときは異様に動くというように全てが「おおげさ」な動きとなることが多いようです。
日経平均が10000円を抜けて終わったということには特に意味はないと思いますが、「デフレ脱却」を期待した動きというよりは一時期の米国市場のように「超低金利継続」に対する期待、見通しから「円キャリー取引」(=円の低い金利で資金を調達し、高い金利が得られる通貨、資産に投資をする動き)が行われているものと思います。日銀が国債を担保に3カ月間0.1%の金利で10兆円を貸してくれるということなのですから、3カ月間0.5%でも運用できれば、大きく儲けることが出来るのです。
上の例はちょっと極端ですし、日銀総裁はそうした「キャリー取引のバブル」を敬遠して「ゼロ金利政策」を避けたのでしょうが、一種「バブル」のように資金を供給しないことには、金融機関や企業の萎縮した資金需要を喚起できないものと思われ、バブルでも起きない限り個人消費も伸びは期待出来ないのではないかと思います。周りの人間と話していても「バブル待望論」が強いのですが、「超低金利政策」が続けばまた「バブル」も生じてくるのではないかと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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