景気回復を確認して底堅いが利益確定売りに押される清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年12月03日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10452.68▼18.90

<NASDAQ>2185.03△9.22

<為替:NY終値>87.42-87.48

景気回復を確認して底堅いが利益確定売りに押される

 ドバイ不安が後退したことから買い先行となりましたが、目先的な過熱感や原油価格の下落、民間調査の雇用レポートが予想以上に悪化していたことから売られ、軟調となりました。ベージュブック(地区連銀経済報告)も発表されましたが、個人消費が緩やかに上向き、総じて緩やかな景気回復が見られるとされたものの、引き続き雇用に対する懸念と不動産市場の悪化も指摘されており、戻り歩調となった相場も上値が重くなりました。低金利継続には変わりなさそうだということでハイテク銘柄は堅調となり、ナスダック指数は高くなりました。

 原油価格が下落となりましたが、金先物価格は引き続き堅調、連日の高値更新となっています。ドルの代替と言われていますが、ドルに買い戻しが入っても堅調となるなど、投機的な資金が流入しているということでしょう。株式市場なども含めて資金の循環がよく、景気回復の度合いに合わせて堅調な展開は続くものと思われます。ベージュブックでも景気の回復が示されましたが、個人消費には回復の兆しが見られるものの、まだ雇用情勢の本格回復には至っておらず、クリスマス商戦の動向とともに週末の雇用統計などに市場は敏感に反応するのではないかと思われます。ただ、逆に雇用が改善するまでは低金利が続くものと思われ、底堅い展開は続くのでしょう。

 個別には総じて利益確定売りに押されるものが多く、シェブロンやエクソンモービルは軟調だが、アルコアが高く、インテルは堅調だがIBMやHP(ヒューレット・パッカード)は安い、キャタピラーは安いがボーイングは高いというように普段同じ様な動きとなることが多い銘柄などでも高安まちまちとなりました。バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースなど金融株は軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は日銀の金融緩和策に対する失望と米国株高に見られる景気回復期待とが入り混じり方向感のない展開となりました。金融緩和策がドラスティックなものでなかったことや政府の経済対策を見極めたいと言うことから積極的な売り買いに乏しい展開となったものと思います。持高調整の売りは一段落となり、指数を下押すこともなく、上値は重いながらも底堅い展開となりました。

 米国市場は上げ一服となりましたが、日本市場は引き続き経済対策待ちということで小動きとなりそうです。日銀の金融緩和策は不十分との見方もありますが、「デフレ対策に動いた」ということは評価され、株価の下支えにもなりそうです。政府の経済対策は期待はされないものの、即効性のある対策であれば、金融緩和と合わせて株価を押し上げる要因となるものと思います。期待はずれに終わる可能性もありますが、期待されていない分失望売りも限定されるのでしょう。世界的な景気回復が認められるなかで、為替が落ち着いてくれば輸出企業などは業績回復を取りざたして物色されるのではないかと思います。

 日経平均は9500円から600円、少し余裕を見ても9700円程度の水準が節目となっており、上値が重くなりました。引き続きこの節目を意識した動きとなり、本日も指数は小動きとなるものと思われます。為替に落ち着きが見られることから、輸出株などが買われて指数を押し上げる場面もあるかもしれませんが、9700円水準では上値も重く、9500円を意識するところは底堅さも見られるのではないかと思います。経済対策待ちで積極的に買い上がれず、持高調整の売りが止まったのであれば底堅い展開となるのでしょう。TOPIXは増資懸念などから銀行株の上値が重いものと思われ、日経平均よりも上値が重いかもしれません。

本日の注目点

◇7−9月期の法人企業統計調査(財務省)

◇11月の米ISM非製造業景況感指数

◇7−9月の米労働生産性

◇欧州中銀(ECB)理事会(フランクフルト)

◇7−9月期のユーロ圏GDP改定値

◇決算・2−10月期:積水ハウス(1928)

◇決算・9月期:独シーメンス

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