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» 2009年12月01日 17時23分 UPDATE

改正貸金業法をめぐり、貸金業者側と消費者側が対立

改正貸金業法の見直しに関する検討会議が、金融庁で始まった。上限金利の引き下げや総量規制を盛り込んだ法律について、貸金業者側と消費者側の意見は真っ向から対立した。

[土肥義則,Business Media 誠]

 金融庁は11月30日、改正貸金業法(2010年6月施行予定)の見直しに関する「貸金業制度に関するプロジェクトチーム(座長・大塚耕平内閣府副大臣)の初会合を開いた。改正貸金業法の法案が成立した2006年当時と比べ、現在の経済環境は大きく悪化。法案成立から3年が経過し「どのくらい影響が出ているのかが分からない。できるだけ貸金業市場の現状を把握したい」(事務局長・田村謙治内閣府大臣政務官)としているが、この日の会合では貸金業者側と消費者側の意見が、真っ向から対立する形となった。

 改正貸金業法が成立した背景には、多重債務者の存在がある。借り手の返済能力を上回る貸付などから、多重債務者が急増。2008年2月時点で、5件以上の貸金業者を利用している人は約180万人にものぼり、これらの人の平均借入残高は240万円ほど(金融庁調べ)。社会問題にもなった多重債務者を減らすため、上限金利を29.2%から20%以下に引き下げるほか、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付を原則禁止――といった内容を法律に盛り込んでいる。

 しかし上限金利の引き下げと総量規制の導入に対し、日本貸金業協会は「(完全施行されれば)貸金業者から借り入れできない人が数百万人でてくる。貸金業は庶民金融として、個人や零細企業に対し、血液を供給するいわば毛細血管の役割を担ってきた。このままでは貸金業者はマーケットからの退場を余儀なくされ、業界そのものがなくなるかもしれない」と法律の見直しを求めた。

 これに対し、日本弁護士連合会は「返済の能力を超える貸付を行わないのは当然のこと。いま、国民はセーフティーなものを求めている。こうした国民の声を踏まえ、改正貸金業法の完全施行を急いでもらいたい」と訴えた。

yd_money.jpg 11月30日に開かれた「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」

日本貸金業協会と日本弁護士連合会が対立

 消費者金融大手4社(アコム、プロミス、武富士、アイフル)では改正貸金業法の完全施行を前に、上限金利の引き下げ(新規貸付分)に踏み切っている。現在、大手4社は金利を6.8%〜18.0%に設定。また貸金業者全体で見ても、個人向けの貸付金利が20%超の残高割合は前年比12%減の41%に。また「貸金業者は審査を厳格化しているので、貸付額が急速に減少※。借入件数5件以上の多重債務者も、2年ほどで67%減少している」(日本貸金業協会)と完全施行を前に、業界全体が積極的に取り組んでいることを強調した。

※貸付残高は2007年9月〜2009年3月までの間に、16兆6000億円から13兆8000億円(17%)に減少した。

 多重債務者が減少していることに対し、日本弁護士連合会は「現状、多重債務者への過剰貸付が減りつつある過程にある。しかし今ここで『規制緩和』するのは、これを元に戻せということを意味するもの」とした。

 改正貸金業法の完全施行をめぐって、日本貸金業協会と日本弁護士連合会の意見は対立した格好だが、そもそも亀井静香金融相は制度の見直しや施行の延期を「考えていない」としている。また完全施行までの残り時間を考えると、「この会合で何ができるのか、疑問だ。もし完全施行の直前に制度を見直されても、現場は混乱するだけ」(消費者金融関係者)といった声も出ている。

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