コラム
» 2009年11月30日 08時37分 UPDATE

藤田正美の時事日想:鳩山政権はこの試練を乗り越えることができるのか (1/2)

日本にデフレという“妖怪”が、再び現れた。さらに円高により、「デフレが加速するかもしれない」といった懸念が高まっているが、鳩山政権はそれほど警戒心が強くないのではないだろうか。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 日本にデフレという“妖怪”がまた現れた。というより、ようやく鳩山政権がその妖怪に気がついたと言うべきなのかもしれない。どうも菅副総理や日銀の白川総裁の談話を聞いていると、デフレに対する警戒感はそれほど強くないようにも見えてしまう。白川総裁は「金融を緩和すればただちに物価が上がるというわけではない」と述べるにとどまった。

 しかしデフレ状況にある上、円が極端に高くなっている。円高は、日本の輸出企業の収益に大きな悪影響を与えるばかりか、輸入物価の値下がりでデフレがさらに加速される可能性もある。景気回復の腰が折られる可能性は高まっているとも言えそうだ。いわゆる「二番底」である。

米国、英国、日本の共通する懸念点

 この日本のデフレ状況を心配そうに見守っているのが米国と英国だと、エコノミスト誌最新号が指摘している(関連リンク)

 もともと金融危機が発生したとき、世界の金融当局の基本的認識は「日本の失敗を繰り返すな」だった。当時の麻生総理がG20の金融サミットに出かけていき「日本が金融危機をどう克服したかを話してくる」と言ったものの、その経験談をまともに聞いた外国政府は少なかった。

 金融機関の不良債権処理を急ぎ、金融の超緩和によって銀行の収益力を高めようとしてきた。スピードと規模が命というわけだ(日本はこの不良債権処理にあまりにも時間をかけすぎたというのが通説である)。

 ただ米国や英国と日本の懸念すべき共通点もあるという。それは景気対策のために財政出動をし、その結果、日本と同じように財政赤字が悪化している(国債の発行が増えている)。しかもこの財政支出による景気下支えは当面継続せざるをえない。(住宅バブルの後遺症で)個人の債務負担が大きいために個人消費の回復が鈍いからだ。

 しかもエコノミスト誌はこう指摘する。

 「今日の景気後退は、日本のバブル崩壊後よりも厳しい。失業率や需給ギャップが大きいために中央銀行が資金を注ぎ込んでもデフレ圧力が高まっている。しかもOECDの最近の経済展望では、米国のGDPギャップはほぼ5%、英国は6%を上回っており、日本よりも悪い。しかも米国の失業率は10.2%とされているが、より広い定義を用いると18%に近い。

 日本の失敗が繰り返されているという面もある。バブルが弾けた後の戦略とは、中央銀行がただ同然の資金を銀行に供給して銀行の収益力をバックアップし、それで不良債権地獄から銀行自身が抜け出すというものだったはずだが、不良債権はまだ処理し切れていない。その結果、金融システムはまだ機能不全のままだ。米国の預金保険公社によれば、全銀行の7%にあたる552行が問題銀行としてリストアップされているという。英国の銀行貸し出しは10月も減少した」

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