インタビュー
» 2009年11月28日 15時30分 UPDATE

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」:本場スイスで初めてヨーデルCDを発売した日本人歌手――北川桜さん(後編) (2/7)

[嶋田淑之,Business Media 誠]

和光学園で個性を育み、国立音楽大学へ

 「3歳からピアノを、小学校に上がってからはエレクトーンを習い、そして作曲も始めました。それに絵や演劇も大好きでした。中学校は和光学園を受験し、合格したので、高校卒業まで和光に通いました。この学校は、個性を引き出してくれて、それを評価してくれるところだったので、私にはとても良い学校でしたね。自分がすべきことを自分で決めるということを重視していて、高校では、演劇や音楽理論を始め、選択科目がたくさんありました。部活は、小学校以来の演劇と、あと合唱団に参加しました。歌を歌うことで、自分に自信のようなものができたと感じています」

 歌に自信を付けた北川さんだが、大学進学は音大以外も考えたという。

 「絵を描くのが好きなので美大に行く選択肢も考えましたし、また和光大学に内部進学して心理学や社会科学を学ぶ選択肢も考えていました。しかし、絵については色は大好きだけど、デッサンが好きではないなどの理由もあって、最終的に音大を目指すことにしたんです。高校時代、歌のレッスンも受けていましたし。

 それで国立音楽大学の声楽科(ソプラノ)を受験したら受かってしまいまして。でも父は受かるはずないと思っていたので、入学金とか全然用意していなくて、大慌てでローンを組んだのですよ(笑)」

国立音楽大学時代に歌の基礎を築く

 大学時代は、どんな活動をしていたのだろうか? 「思う存分音楽に打ち込めることがとにかくうれしくて、ほとんど毎日、大学に行って色々な音楽活動をしていましたよ。おかげで音楽仲間もたくさんできました。主だった活動を挙げると、大学の4年間、くにたちカンマーコールという声楽家の合唱団のメンバーとして、年間40ステージに及ぶコンサートツアーを経験しました。国内各地だけでなく、香港など海外公演もありました。

 国立音大は学年合唱が盛んで、NHK交響楽団と共演したほか、オペラの2重唱・3重唱といったアンサンブル、そしてオペラ全曲公演、モテットなどの宗教曲、さらにはドイツリートをはじめとする様々な独唱曲まで、本当に幅広く勉強しました。アンサンブルや合唱の基礎は、この時代に身につけたと言ってよいと思います。

 特に印象深いのは、ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮、NHK交響楽団でメンデルスゾーンの『エリヤ』を演奏した時に共演したルチア・ポップさんですね。あの声は大好きでした」

ay_sakura12.jpg スロバキア出身のソプラノ歌手、ルチア・ポップ。写真は『バイエルン国立歌劇場名場面集』

 ルチア・ポップは、がんで夭折(ようせつ)したスロバキア生まれの世界的なソプラノ歌手である。その愛くるしい風貌と、清楚で暖かみのある歌声で絶大な人気を誇った。モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」のスザンナ役や、ヨハン・シュトラウスの喜歌劇「こうもり」のロザリンデ役など、庶民的で純情な娘役がよく似合い、多くの点で、北川さんと共通する要素を持っている。北川さんは、ルチア・ポップの姿に、自己像を見たのかもしれない。

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