ギルトのプレゼン資料の中で最も気になった言葉について聞いてみた。それは“エディトリアル”という言葉。
私たちのミッションは、エディトリアルの進化と流通の革新により、お客様に喜びをもたらすことです(プレゼンテーション資料より)
郷 エディトリアルとはどんな意味ですか?
アレクシス ギルトはオンラインのファッションマガジンなの。ページをめくりながら着こなしを学んで、コーディネートを想像しながらその場で買えるんです。
ギルトのWebサイトにはファッション誌にも比肩する画像が詰め込まれている。ブランドイメージに合ったモデルとコーディネートを自社スタジオで撮影。商品紹介では、ブランドヒストリーやデザイナーの世界観を紹介する。だが、電子雑誌ではない。電子ペーパーサイトのようなトロさがなく、商品画像にマウスオーバーすると細部まで軽快に拡大。しかも、雑誌と違い、その場で買える。それがエディトリアルという価値だ。
仕入れは発売元が何らかの理由で処分したいものを直接買い付ける。それらの宣伝コンテンツを2週間で編集し、Webサイトで販売、販売情報をブランドにフィードバック。ディスカウントしてもブランドイメージをあまり損なわなず、情報提供というWin-Winの関係が築かれる。
マガジンとオンラインと仕入れの合体、なぜできたのだろうか?
アレクシス 10年前、ハーバードのMBAコースでアレクサンドラさんと知り合って、それからずっと「いつか一緒に仕事をしようね」と語ってきたの。
もう1人の創業者アレキサンドラさんは、ニューヨークのBulgariやLuis Vuittonで働き、アレクシスさんはオークションサイトのeBayの社員数がまだ40人だった創業時にシリコンバレーで働いていた。ブランドとオンラインの出会いは、東海岸と西海岸のそれぞれの事業価値の合体でもある。
アレクシス eBayもGILTも「First Come, First Serve(早い者勝ち)」なのよ。
集客はクチコミ(バイラルマーケティング)。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のように会員を招待制にするのは、ブランドの希少価値を守り、顧客層を一定させ、登録情報でダイレクトマーケティングをするためだ。顧客心理とビジネスモデルを一致させているのはすごい。
ギルトはWebサイトと顧客心理をエディトリアルな価値で再構築した。従来の“いち早く立ち上げてPV(ページビュー)を稼いで会社を売る”というWebのビジネスモデルは、もはや終わりである。
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