日本市場が休場となっている間の米国市場が大幅高となったにもかかわらず、日本市場は買いが続かず大幅下落となりました。米国では低金利が継続することが好感され、景気回復に素直に反応しています。日本でも米国と同じ様に低金利が続いて業績回復も見られるのですが株価は軟調となっています。為替が円高気味ということもありますが、それでも対ユーロなどでは円安方向に振れるなど、相変わらず目先の需給要因や政策不在を嫌気して売られているようです。
本当に何とも情けない相場が続いています。米国市場が大幅高となっても反応できないということは日本独自の事情によって株が買われない、売られてしまうということなのでしょう。「デフレ」が認定されたのはいいのですが、政策面でのデフレ対策には何も触れられないということも嫌気されているものと思います。「恐竜時代」のものであったとしても財政出動などでデフレを退治しないことには景気の更なる回復もおぼつかないということではないかと思います。
ジーンズや株式売買手数料など「値下げ合戦」となっているものも多く、デフレを助長しているといえるでしょう。安く買えるということはとてもいいことですが、例えばETCのように国が半分資金を出してくれて安く買えるということであれば、売った方の利益は減らず、その利益を還元した従業員などの更なる需要に繋がる可能性はあります。ただ、通常の安売りであれば利益を絞った分、従業員の給料が減り、可処分所得が減ることで更に需要が減るということになってしまうのです。つまり、安く買うということは自分の給料も減っているということに近いものがあるのです。
こうしたデフレの連鎖(デフレスパイラル)をどこかで断ち切らなければならず、資金を表に引っ張り出してくる必要があるのです。安く買えた分を他で使えるようにする「エコポイント」や補助金を与える「太陽光発電」など、こうした「お金が循環する」政策を取らないといけないと思います。政策に広がりが見られず、デフレ対策もままならないのであれば、国内ではなく新興国などで利益を上げて、国内に利益を還元しているような企業に注目するしかないと思います。
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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