「デフレスパイラル」懸念などから一時大幅下落となるも底堅い展開、TOPIXは小幅高清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2009年11月20日 16時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9497.68円 ▼51.79円
売買高 21億2556万株
日経平均先物 9490円 ▼60円
売買代金 1兆2966億円
TOPIX 838.71 △1.00
値上がり銘柄 829銘柄
東証マザーズ指数 384.46 △17.37
値下がり銘柄 708銘柄
日経ジャスダック平均 1125.25円 △6.33円
変わらず 141銘柄
騰落レシオ 66.69% ▼2.06%

日経平均

「デフレスパイラル」懸念などから一時大幅下落となるも底堅い展開、TOPIXは小幅高

 米国株が軟調となったこともあり売り先行となりました。それでも、昨日までの下落相場である程度織り込まれていたとの見方もあり、寄り付きの売りが一巡したところでは戻り歩調となりました。銀行株への買戻しなどもありTOPIXが前日比プラス水準で推移する場面が見られるなど週末の手仕舞いの売り買いを交え、戻りが期待される展開となりました。ただ、前場中ごろに複数の政府高官が「デフレ状態」と発言したことで、政策不在の中での「デフレスパイラル」懸念が強まり、改めて売り直され大幅下落となりました。

 後場も軟調な展開が続きました。日銀の金融政策決定会合の結果が発表されましたが、特に材料視されず、相変わらず持高調整の売り買いなど目先の需給要因だけで動いているという状況で、いつものことながら、方向感のないもみ合いとなりました。為替も円高が大きく進むことなく、依然として政策の方向性も定まらず、買い気に乏しい展開は最後まで続きました。売り方の回転が効いているという感じで底堅さが見られても買戻しを急ぐ動きは限定的となっているようです。銀行株などに買戻しは見られ、指数を下支えしているものの日経平均を押し上げるところまでは行きませんでした。

 小型銘柄は高いものが目立ちました。買戻しや値ごろ感からの買いも見られているものと思われ、売りが出切ったところでの買いであるだけに株価が大きな上昇となるようです。東証マザーズ指数は大幅高、二部株指数、日経ジャスダック平均も堅調となりました。先物はまとまった売り買いはあくまでも散発的であり、方向感を出すような場面はほとんどありませんでした。週末と言う事で買戻しを急ぐ動きやヘッジ売りなどが散発的に見られるのですが方向感を持って売りあがる、買い上がる、売り叩く、と言うこともなく、大人しい展開が続きました。

 相変わらずさえない展開です。値ごろ感や週末ということもあり、買戻しは見られるのですが積極的な買い手は相変わらず見当たりません。業績回復が期待されるものでも回復が続くのかどうかと言う疑念は拭いきれないようです。予算や政策の方向性が見えるまでは指数として、相場全体としての方向感は見えないのかもしれません。個別に政策などに左右されない銘柄、アジア市場などで収益拡大が見込める銘柄などに注目しておくのがいいのかもしれません。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 かろうじて9500円水準で下げ渋っている感じです。ストキャスティックスは底値圏にあるのですが、RSIはまだ下落余地もあり、まだ下値を探る動きが続くものと思われます。連休明けに堅調な始まりとなり大きめの「陽線」をつけるようであれば、これで底入れとなる可能性もありそうですが、軟調な始まりとなるとま調整が続きそうです。

TOPIX

NYダウ

 RSIやストキャスティックスが底値圏にあり、底堅さも見られました。週明けに堅調な始まりとなるようであれば底入れ感が強まるのですが、軟調な始まりとなればまだ下値を探る、あるいは下値を確認するような動きが続くことになりそうです。

円相場

NYダウ

 下値を探る動きが続いています。RSIもストキャスティックスもまだ下落余地はあるのですが、水準としては低い水準であり、底堅さが見られれば買戻しも入り、底入れ感が出るものと思います。

銘柄ピックアップ

手仕舞い売り買いが中心で物色対象は絞られず

ソニー(6758) 2410 ▼60

 売り気配から始まり一時大幅安となるなど軟調となりました。昨日の引け後に2010年度のテレビ事業黒字化などが発表されましたが、米国株安に加え、長期債務格付けが引き下げらたこともあり、売り急ぐ場面もありました。

コマツ(6301) 1723 ▼2

 中国で手掛ける販売金融事業の収益が改善していると新聞で報じられましたが、中国での販売好調は既に株価に織り込まれているとの見方もあり、特に材料視されず、地合いの悪さに押されて軟調となりました。

住生活G(5938) 1374 △33

 「住宅版エコポイント」の概要が固まったと新聞で報じられたことから、住宅機器を取り扱う同社のメリットは大きいと判断され買いを集め、堅調となりました。手詰まり感の強い中で値動きの良さに買いが集まったと言う面もあるものと思います。

新日石(5001) 380 ▼1

 持高調整の売りが相変わらず続いていることに加え、海外での原油価格の下落や石油販売の利ざやの改善が見られないにもかかわらず下期の計画が強気すぎるとして外資系証券が投資判断を引き下げたこともあり、軟調となりました。

エンプラス(6961) 1415 △111

 薄型テレビのバックライトに使う発光ダイオード(LED)数を大幅に減らせるレンズを開発したと新聞で報じられ、買い手掛かり難の中、新鮮な材料と捉えられ、好感する買いが入り大幅高となりました。今月に入ってから調整が続いていたこともあり、好材料に敏感な反応となったものと思います。

フェローテック(6890) 840 △70

 昨日の大引け後に中国企業2社から太陽電池向けシリコン結晶製造装置を新規に受注したと発表。受注が引き続き順調に推移していることが好感されて買われ、大幅高となりました。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.