週刊誌が記者クラブを批判しない理由(2)上杉隆×窪田順生「ここまでしゃべっていいですか」(2/3 ページ)

» 2009年11月20日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

窪田 なぜ記者クラブの問題はこのようになってしまったのでしょうか。上杉さんも著書の中で書かれていますよね、日本新聞協会が記者クラブに対する「見解」※を変更したとかで。

※1978年、日本新聞協会の編集委員らが、記者クラブに対する見解を変更した。「その目的はこれを構成する記者が、日常の取材活動を通じて相互の啓発と親睦をはかることにある」(日本新聞協会)――。この「取材活動を通じて」の文言によって、記者クラブは親睦団体から、取材拠点へと変わった。(参考文献:『ジャーナリズム崩壊』)
ジャーナリストの上杉隆氏

上杉 日本新聞協会は規約を改正することで、開き直ってしまった。自分たちに非があるのは分かっているので、コソコソするのではなく「自分たちの何が悪いんだ!」といった感じ。

窪田 まさに日本新聞協会の“逆切れ”。

上杉 日本新聞協会が逆切れした原因の1つは、雑誌にもあります。『週刊新潮』や『週刊現代』などは、記者クラブに加盟しているメディアのオコボレをちょうだいしながら雑誌を作ってきた経緯がある。いわば“共犯関係”にあるので、雑誌側も強くはいえない。

窪田 朝日新聞に就職し、当時のデスクからこのようなことを言われました。「やっぱり雑誌記者のときに、新聞記者を取材したの?」と。つまり、“オレたちを夜討ち・朝駆けするんでしょう?” といったことを聞かれた。仲の良い新聞記者と情報交換はしましたが、彼らを夜討ち・朝駆けしたことはない。このように答えると「雑誌の記者はオレたちから取材して、『捜査関係者〜』などと書くじゃないか」とも言われました。

上杉 立花隆さんの世代の人たちのジャーナリストは、新聞記者から情報を得てきました。最近でもテレビによく出てくる“立派”な人たちは、立花さんのやり方と同じようなことをしている。つまり新聞記者と雑誌記者は、いわば"共生関係"のようなもの。

窪田 その共生関係というのは、とても日本的。

上杉 僕が記者クラブ批判をできた1つの理由は、もともと新聞記者の情報に頼っていたわけではないから。もらうよりもむしろ情報をあげていたから。

窪田 情報をもらっていながら、記者クラブを批判することは難しいですものね。

上杉 僕の場合、新聞記者からもらう情報よりも、政治家や政治家秘書、政党職員などから取る情報が圧倒的に多い。そうしたインサイダーから聞いた情報で記事を書き、時には新聞記者にあげていることも。これまでの日本のジャーナリストで、新聞記者に情報をあげている人はほとんどいなかったと思う。

窪田 確かに少ないですね。

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