エコと便利のちょうどいい関係――新型ゴルフ ヴァリアントに乗ってみた神尾寿の時事日想(3/4 ページ)

» 2009年11月18日 22時30分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 それでは試乗レポートに入ろう。

 前述のようにゴルフヴァリアントには3ラインあるが、今回筆者はベーシックグレードの「TSIトレンドライン」と、その1つ上のラインである「TSIコンフォートライン」に乗った。どちらもエンジンは排気量1.4リッターの小型エンジン。そこにTSIトレンドラインはターボ技術を、TSIコンフォートラインはターボとスーパーチャージャーの2種類の過給器を組み合わせて、かなりの小排気量エンジンながら、十分以上のパワーとトルクを引き出している。また、トランスミッションは7速DSGである。

TSIトレンドライン

 まずはTSIトレンドライン。このクルマはゴルフヴァリアントのベーシックグレードらしく、基本性能と燃費の良さを重視したモデルだ。とはいえ、アクセルを踏んだ時の立ち上がりが“もっさり”することなどみじんもなく、右足の動きに応じて欲しいパワーが欲しいだけ引き出せる。7速DSGの変速はとてもスムーズであり、なおかつマニュアルトランスミッション譲りの応答性の良さとダイレクト感があり、走らせていてとても楽しいクルマだ。またステーションワゴンボディとなったため、直進安定性がさらに増しており、ロングドライブでも疲れずに走れそうだ。

ゴルフヴァリアント TSIトレンドライン。ゴルフ譲りの高品質で質実剛健なデザインとインテリアがセールスポイント
ゴルフヴァリアントの運転席。フォルクスワーゲンらしく、華美ではないが高品質。なお、トランスミッションのDSGはマニュアルトランスミッションを進化させたものだが、クラッチ操作はコンピューター制御なので、2ペダルで操作可能。基本は自動変速で、使い勝手はATと同じだ。AT限定免許でも運転できる(左)。TSIトレンドラインのエンジンルーム。1.4リットルの小型エンジンに過給器(ターボ)が組み合わされ、十分な性能が引き出されている(右)
ラゲッジスペースは標準状態で505リットル。分割可倒式の後席シートの背もたれを倒してすべてフラットにすれば、1495リットルの大容量スペースが確保できる

TSIコンフォートライン

 一方のTSIコンフォートラインは、TSIエンジンの過給器アシストをさらに高度化し、同じ排気量ながらパワーアップを図ったものだ。これにより加速感はトレンドラインより明らかに上であり、エコとスポーティを高い次元に実現したい人には最適なグレードと言える。

 また、今回のゴルフヴァリアントは静粛性が高いのだが、コンフォートラインでは加速時に耳を澄ませるとエンジン音にまじって過給器の音がかすかに聞こえてくる。エコなファミリーカーながら、スポーティな気分が高まるのは、クルマ好きの人にとってうれしいところだろう。TSIコンフォートラインではヘッドライトがより明るいバイキセノンヘッドライトになり、コーナリングライトやフルオートエアコンなどの装備も充実している。資金的に余裕があり、長く乗るのであれば、筆者はTSIコンフォートラインをお勧めしたい。

TSIコンフォートライン。トレンドラインに比べ、装備・性能が充実している
TSIコンフォートラインのエンジンルーム(左)。小排気量エンジンに2つの過給器でパワーをアシストし、エコカーとは思えないスポーティな走りを実現している

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