目先的な過熱感から売り先行も、引き続き超低金利継続の安心感から堅調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月18日 08時49分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10437.42△30.46

<NASDAQ>2203.78△5.93

<為替:NY終値>89.23-89.29

目先的な過熱感から売り先行も、引き続き超低金利継続の安心感から堅調

 相変わらず経済指標はそれほど芳しいものではなく、朝方発表された10月の鉱工業生産指数も前月比で上昇は続けているものの、予想を下回りました。ただ、卸売物価指数(PPI)も予想を下回り超低金利が継続する要因と見られ、前日の大幅高の反動や利益確定売りに押されて売り先行となったものの、底堅いものが多く、商品市況などが堅調なことから素材株などが買われて堅調となりました。商品市況が堅調な中でPPIが予想を下回り、個別企業の業績は堅調ですが鉱工業生産指数は予想を下回るという状況で、インフレ懸念が強まることなく景気の回復が見られ、買い安心感も出ているようです。

 経済指標のもたつきがうまい具合にインフレ懸念を打ち消して、金利上昇を抑えているような感じです。政府やFRB(連邦準備理事会)の金融政策がうまく回っているという見方から、資金の循環が好転しており、リスク許容度も大きくなっているものと思われます。目先的な過熱感も強いのでしょうがクリスマス商戦を気にしながら、金利動向、商品市況などを気にしながら強含みの展開が続くものと思われます。依然としてセンチメントが上向いており、好材料に敏感に反応しているものと思います。

 個別には業績見通しが慎重と受け止められたホーム・デポが軟調、同様に先行きについて慎重な見通しを示したターゲット(ディスカウントストア)も安くなりました。8−10月決算が最終黒字となったサックス(百貨店)は大きく上昇、原油価格が堅調なことに加え投資判断の引き上げが伝えられたエクソンモービルも高くなりました。アルコアやデュポンなどの素材株は商品市況が底堅く堅調なことから高いものが多いのですが、キャタピラーが軟調、ボーイング堅調という具合に景気敏感株は利益確定売りに押されるものも見られ、まちまちとなりました。金融株もバンク・オブ・アメリカは軟調、JPモルガン・チェースは堅調とまちまちとなっていました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が大幅高となったにもかかわらず、持高調整の売りなどに押されて軟調となりました。相変わらず買い気に乏しい相場のなかで小口の見切り売りに押されるものが多いと言うことのようです。新興市場の下げがきつく、東証マザーズ指数や日経ジャスダック平均などが大きく下落、売りが売りを呼ぶような銘柄も散見されました。海外の株式市場や商品市況とは別の世界のように取り残されている感じです。

 本日はさすがに反発となって来るのではないかと思います。ただ、引き続き持高調整と見られる売りも続くものと思われ、「20日」というところまで持高調整の売りが出るのか、「11月いっぱい」なのか、それとも12月のSQ(特別清算指数)算出まで、あるいはクリスマス休暇まで、ということになるのかが見極め切れない分、上値も限定されそうです。ただ、業績回復、世界的な景気回復も期待されるなかで、商品市況などの上昇を反映する動きもそろそろ見られるものと思われ、素材関連や非鉄株、商社株などに動きが出るものと思います。日本国内での景気浮揚は政策の不透明感もあり期待出来ず、新興国などを中心に事業拡大を図るような銘柄を物色する動きとなるものと思います。

 TOPIXは引き続き軟調ですが、何とか下値の節目と見られる850〜60水準で下げ渋っており、そろそろ底堅さを確認して戻りを試す展開となるのかもしれません。850を大きく割り込まない限り節目で下げ止まっていると見ておいて良いと思います。日経平均も9700円水準で底堅さも見られ、まだ9700円から10000円を意識する水準でのもみ合いの中で動きが続いているものと思います。米国市場も堅調、商品市況も堅調ということで、国内での「勝ち組」や新興国などの事業で業績が回復しているような銘柄を中心に指数の底堅さも見られるものと思います。

本日の注目点

◇10月の米消費者物価指数

◇10月の米住宅着工件数

◇決算・9月期:日本農薬(4997)

◇決算・4−9月期:三菱UFJFG(8306)

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