「アウトプットするほど至らない自分を認識した」――保田隆明が大学院に行く理由(前編)社会人大学院特集(3/5 ページ)

» 2009年11月18日 11時00分 公開
[房野麻子,Business Media 誠]

受験そのものはそれほど大変ではない

 大学院の入学試験は、基本的に小論文と面接だ。学校によっては、それに筆記試験が加わることもあるが、早稲田のファイナンス研究科は小論文と面接のみ。「予想より楽だった」だと保田さんはいう。「小論文は“応募理由を書きましょう”というような課題なので、エッセイで済みます」(保田さん)

 アメリカのビジネススクールを受験する際にも小論文があるが、たとえトップ校でもあっても、「人生における実績(accomplishments)を3つ挙げて、その中での自分の役割がどんなものだったかを書いてください」というようなエッセイ的なものだという。確かに、アメリカの場合はGMAT(一般知識を測るセンター試験のようなテスト)のスコアを提出しなくてはいけないが、小論文については、それほど恐れる必要はない。日本の大学院の場合、筆記試験がある大学院はあるが、GMATのような大学院共通の試験はない。

 「早稲田の場合は筆記試験がなくてエッセイ(小論文)だけです。ですからエッセイ作りは準備しますが、ファイナンスの基礎科目を勉強したりはしていません。ただ、金融実務者の場合、証券アナリストなど、業務上さまざまな金融系の資格を持っている人が多いので、筆記試験をしなくてもある程度の事前知識は備わっているのが普通です。書類審査を通ったら面談があり、その際に教授がファイナンスの基礎的な知識を持っているかどうかを聞いてきます。それが筆記試験の代替といえるでしょう」(保田さん)

 筆記試験がある大学院の場合でも、社会人枠は学部生とは別に設定されているところが多く、学部卒の学生と学力を競うことにはならないようだ。例えば、学部卒の学生が百数十人受験していても、社会人はそれとは別扱いになるので、実際の競争相手は社会人受験生に絞られる。また、社会人受験生のみ筆記試験を免除している大学院もある。

 「社会人のみは1年コースがあるということで、実は一橋大学の国際・公共政策大学院も受けました。ここは学部卒の受験生は筆記試験があって、社会人には筆記試験がありません。学校によって違うと思いますが、社会人は学部卒に比べると筆記試験という意味ではハードルは低いです。それを実務の経験でカバーしてください、ということなんでしょうね」(保田さん)

 社会人の場合、受験の準備のために猛勉強をしなくてはいけない、ということはないようだ。

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