インタビュー
» 2009年11月18日 11時00分 UPDATE

社会人大学院特集:「アウトプットするほど至らない自分を認識した」――保田隆明が大学院に行く理由(前編) (1/5)

2007〜2008年にかけて、本誌で「時事日想」を連載していた保田隆明さんは、今、社会人大学院に通い、ファイナンスを学んでいる。順調にキャリアを積んでいた保田さんは、なぜ大学院に行くことにしたのだろうか。社会人が大学院に行く意義や、生活の実態について聞いた。

[房野麻子,Business Media 誠]

保田隆明(ほうだたかあき)

 財務戦略アドバイザー。外資系投資銀行2社で企業のM&A、企業財務戦略アドバイザリーを経たのち、起業し日本で3番目のSNSサイト「トモモト」を運営(現在は閉鎖)。その後ベンチャーキャピタル業を経て、現在はワクワク経済研究所代表として、日本のビジネスパーソンのビジネスリテラシー向上を目指し、経済、金融について柔らかく解説している。

 主な著書は『実況LIVE 企業ファイナンス入門講座―ビジネスの意思決定に役立つ財務戦略の基本(ダイヤモンド社)』『いちばんやさしい ファイナンスの本 (実務入門) (日本能率協会マネジメントセンター)』『投資銀行青春白書(ダイヤモンド社)』など。

 日本テレビやラジオNikkeiではビジネストレンドの番組を担当。2007年4月〜2008年8月まで、本誌連載「時事日想」を執筆。公式サイト:http://wkwk.tv。ブログ:http://wkwk.tv/chou


 著名なコメンテーターであり、本誌「時事日想」を担当していたこともある保田隆明さんは、2008年春から早稲田大学大学院ファイナンス研究科に通い、仕事と学業を両立する日々を送っている。

 すでに立派なキャリアを築いているように見える保田さんが、時間もお金もかかり、仕事との両立も大変な社会人大学院に行くことにしたのはなぜなのか。大学院に行こうと思った理由や入学後の生活、大学院に行って得たものなど、社会人が大学院に行くことの意義や生活の実態について聞いてみた。

「至らない自分」を認識して大学院へ

ay_hoda01.jpg 財務戦略アドバイザーの保田隆明さん

 保田さんの社会人としてのキャリアは、リーマン・ブラザーズから始まる。M&Aやコーポレートファイナンスといった企業の財務戦略を立てる部署で働いた後、スイスのUBS証券に転職。その後、SNSを立ち上げたり、インターネット系のインキュベーション(起業支援)の会社に在籍したりと、キャリアをネット系に振ったこともあったが「基本的にはファイナンス畑の人間」と自任している。ここ数年は、テレビやラジオなどを始めとするメディアを通じてM&Aや金融などについて解説するのが本業となっていて、一般の人にも分かりやすい解説が好評だ。

 端からみていると、保田さんのキャリアは順風満帆のように思えるが、本人は「アウトプットすればアウトプットするほど、いかに自分がまだ至らないかということを認識した」という。

 「私は社会人になってから、まだ10数年しか経っていません。10数年の社会人経験で、言えること、書けることは限られています。メディアで発言・発信していると、最初は気持ちいいんですが、そのうち『ちょっと待てよ』となる」(保田さん)

 常にアウトプットし続けるには、常に自分を高めていく必要があると判断し、その方法を考え始めた。もう一度事業を起こすことなど、さまざまな選択肢を検討したが、最終的にはファイナンスについてを極めるという方向に落ちついた。

 「ファイナンスの実務を知っているといっても、M&Aや企業財務は知っていますが、トレーダーのことは知らないし、セールスの話も知らない。野球で例えれば、私はショートのポジションは経験がある。でもピッチャーはやったことがないし、キャッチャーもやったことがない。さらに、野球の監督業もコーチ業もやったことがない。あるいは、選手の獲得というフロントの業務もやったことがないという状態。だから一度、ファイナンスを体系的に、アカデミックに学んでみる必要があるんじゃないかと思ったのです」(保田さん)

 仕事はとかく専門分野に偏りがちで、物事を体系的に理解するのは難しい。また、目先の収益にもとらわれるので、収益につながらないことはやりにくい。このままの状態では、今後、ファイナンスの実業家としてやっていくにしても解説業をやっていくにしても上へ行けないと判断。そこで、大学院に行くことを決心した。

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