米国株高への反応は鈍く、持高調整の売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2009年11月17日 15時53分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 9729.93円 ▼61.25円
売買高 19億1458万株
日経平均先物 9740円 ▼60円
売買代金 1兆2420億円
TOPIX 857.00 ▼3.42
値上がり銘柄 361銘柄
東証マザーズ指数 373.32 ▼11.00
値下がり銘柄 1262銘柄
日経ジャスダック平均 1135.98円 ▼13.69円
変わらず 64銘柄
騰落レシオ 72.42% ▼5.43%

日経平均

米国株高への反応は鈍く、持高調整の売りに押されて軟調

 米国株が大幅高となったことや外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)が買い越しと伝えられたこともあり、買い先行となりました。ただ、為替が円高に振れたことなどから、シカゴ市場(CME)の日経平均先物の終値水準までは届かず、上値の重い展開となりました。寄り付きの買いが一巡した後は上値の重さを嫌気して見切り売りなどもかさみ、TOPIX指数は早々とマイナス圏に転じ、日経平均も何とか底堅さも見られたのですが、値がさ銘柄が売られると軟調な展開となりました。ただ、下値を売り急ぐような動きはなく、いつものことながら小動きとなりました。

 後場も軟調な始まりとなり、軟調な水準で小動きとなりました。「デフレ認定」が表明されると伝えられたこともあり、米国株が大幅高となったことなどへの反応はなく、持高調整の売りに押されて上値を押さえられていました。買い急がなければならない理由などもなく、個別に好材料に反応できたものだけが高いという状況です。デフレ懸念が強まったことで、金利が低下、不動産株や電力株などは買戻しも入って堅調となりましたが、金利低下への反応は鈍く買戻しも限定的となっていました。さすがに最後は目先筋の買戻しも入り下げ幅縮小となりましたが、何とも買い気に乏しい展開が続いています。

 小型銘柄も業容拡大期待から買われていたものなどに小口の見切り売りがかさみ、軟調となるものが多く、東証マザーズ指数、二部株指数、日経ジャスダック平均と揃って連日の大幅下落となりました。先物もまとまった売り買いはまばらで、まとまった売りで指数を下押す場面もあったのですが、相場を牽引することもありませんでした。方向感のない展開となり、小口の小掬い商いが中心となっていたものと思います。ヘッジ売りを急がなければならないほどの売り材料もなく、買戻しを急ぐ材料もなく、腰を据えての売り買いは手控えられているようです。

 商品市況や海外株式指数は堅調な展開となっているのですが、日本株への資金流入がほとんどないのか、外部環境の好転に反応できなくなっています。日本だけが「デフレ」に陥っているわけでもないのでしょうが、投機的な資金も生活資金も出し渋ってしまっているようです。要するにお金の流れそのものが滞ってしまったということでしょう。「何でも縮小、廃止、中止」と言うことが流行となっており、どんどんスパイラル(螺旋)的に資金の流れが滞って、縮小してしまっているような気がします。どこかで資金の回転が正常に戻るまでは、「買える」銘柄だけが物色されることになるのかもしれません。ただ、新安値銘柄が140銘柄を超え、騰落レシオも70%に近く、少なくとも下値も限定されて来るものと思われ、そろそろ指数が底入れとなってもおかしくはないところです。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 遅行線が日々線を割り込んだことが確実となりました。日々線も転換線を抜けずに弱含みの展開となっています。RSIは低い水準にあるのですがまだ下落余地もあり、もう少し下値を探る動きが続くのかもしれません。買い要因が見当たらず、買い気は乏しいのですが、持高調整の売りが一巡するところが底値となるのでしょう。遅行線が日々線と「天−底」一致となるような水準、あと10日程度下値を探る可能性もありそうです。

TOPIX

NYダウ

 引き続き下値の節目水準である850〜60での底値を確認するような動きとなっています。RSIもストキャスティックスに続いて底値圏になっており、遅行線と日々線が「底−底」一致とならずに少しずれましたが、ここから反発となって来る可能性もありそうです。850の水準を割り込むと節目を割り込んだと見てもいいのでしょうが、それまでは「売られ過ぎ」ということもあり、底堅さは見られるものと思います。

円相場

NYダウ

 遅行線が日々線を割り込んでしまいました。それでもRSIやストキャスティックスも底値圏に近く、10月の安値を窺うところでは底堅さも見られるものと思います。ただ、上値も重くなり、遅行線が日々線に、日々線は引き続き雲に上値を押さえられながら下値を試すことになるのでしょう。

銘柄ピックアップ

米国株高への反応も鈍く、持高調整の売りに押される

シャープ (6753) 1023  △14 、  ソニー (6758) 2525  ▼5

 シャープはソニーに液晶テレビの基幹部品で画面を背後から照らす発光ダイオード(LED)バックライトを供給すると新聞で報じられ、収益拡大やコスト削減が期待されるとして好感する買いが入り堅調となりました。ソニーもLEDテレビの拡大期待から買い先行で始まったものの、結局軟調となりました。

コメリ (8218) 2440  △85

 買い気配から始まり大幅高となりました。10月27日に発表された上期業績が会社側予想を上回ったことや売り上げが回復、あるいは好調に推移しているものが多く、下期以降も2桁増益基調が続くとして、外資系証券が投資判断と目標株価を引き上げたことが好感されたものと思います。

ダイワボHD (3107) 216  ▼57

 昨日の引け後に新株発行と売り出しを発表、株主利益の希薄化を嫌気する売りに押されて大幅下落となりました。「増資ラッシュ」が取りざたされる中での発表だけに敏感に反応したものと思います。

オンキヨー (6729) 165  △50

 米インテルとAV(音響・映像)機器に搭載する主要部品の開発で提携すると発表した。中長期的な業績の拡大や米大手との提携によって経営の安定が増すことが期待されて買われ、ストップ高となりました。

KIMOTO (7908) 923  △100

 4日続伸でストップ高となりました。持高調整の売りもなく、値動きの良さや世界シェア6割を有するタッチパネル用ハードコートフィルムの成長が著しいということで、大手証券が投資判断を引き上げたことも好感されたものと思います。

塩野義 (4507) 1860  △24

 昨日の前引け後に米子会社が米国の創薬ベンチャーを買収したと発表。ニュース自体は米国での買収戦略を評価する向きが多かったものの株価には反応しませんでしたが、手詰まり感の強い相場の中で、キヤノン(7751)の買収の話題もあって、改めて見直されて堅調となりました。

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