通勤車内でおでんにコーヒー……すたれゆく大人の公共マナー (1/2)
電車やバスの中で「おにぎりや弁当などを食べている人を見たことがある」という人も多いのでは。利用者からは「車内で食事をしている人のにおいがきつい」といった苦情が寄せられるなど、関係者は頭を悩ませているようだ。
近距離の電車やバスの中で、おにぎりや弁当、ハンバーガーなどを食べている若者やサラリーマンを見かけたことはありませんか。低下する大人の飲食マナー。個人の良識に委ねられる部分が大きいとはいえ、迷惑行為に目をつぶらない社会のコンセンサスが問われそうだ。(中島幸恵)
おでんにコーヒー
10月初旬、東京郊外を走る私鉄車内。大学名の入ったジャージー姿の女子大生3人が、熱々のおでんを食べながら談笑している。見かねた高齢の男性が「行儀が悪いな」と一喝。それでも女子大生たちは悪びれる様子もなく、食べ続けていた。
別の日の昼下がり。地下鉄車内では、携帯電話片手にコンビニ弁当をかき込むサラリーマンの姿があった。車内で立ったままおにぎりを食べるOL、揺れるバスの中でホットコーヒーを飲む男性会社員……。いずれもここ半年間で、電車やバスの車内で見かけた光景だ。20〜30代の大人の飲食マナーが低下していることをうかがわせる。
都内を走る鉄道、バス各社は車内での飲食は禁止していない。あくまでも利用者の良識に委ねられているのが現状だ。
JR東日本では、駅構内の売店や普通車のグリーン車内でも弁当や酒類などを販売している。このため、「おにぎりやサンドイッチ、弁当などを車内で食べることを禁止すれば、駅弁までも否定することになる」と消極的だ。東京都交通局も「飲食の善しあしは線引きが難しい。お客さまそれぞれのモラルに任せている」(広報担当)と話す。
こうした中、マナー啓発を呼びかけるポスターで注目を集めているのが、東京メトロの「家でやろう。」シリーズ。利用者から寄せられる苦情をシンプルなイラストにし、月替わりで紹介。迷惑行為をした人にさりげなく自分のことと気付かせ、公共の場にふさわしい振る舞いを考えてもらう狙いだ。
ポスターは昨年4月から駅構内に張り出され、利用者から「分かりやすい」などと好評なため今年度も継続。最近は学校教材への掲載についての問い合わせが多いという。
「飲食禁止」までは
10月は、若者が車内でつゆを飛ばしながらカップ麺(めん)をすすっているイラストだった。同社によると、利用者から「車内で食事をしている人のにおいがきつい」といった苦情が寄せられ、採用した。
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シンプルかつユニークさが好評の「家でやろう。」ポスター。マナーへの関心を高めるのに一役買っている=東京・大手町の東京メトロ大手町駅構内