上杉 現実を直視しないんですよね。危機が迫っていても、それを見ないというか、見ようとしない。ヘンな癖がついているから、「自分は大丈夫だろう」と思っているのでは。それは根拠のない、楽観主義に陥っているようなもの。
窪田 例えば船場吉兆のささやき女将※のような人が登場すると、多くの企業は「メディア対応は大事なんだ」といった認識になるんです。会見などでのイメージは大切だということは分かっているのですが、実際「何をしたらいいのか分からない」といった感じで、右往左往している人が多いですね。
で、結局は「記者の人たちだって人間だから、腹を割って話せば分かってくれますよ」といった根拠なき性善説で、この問題を片付けようとしますね。
上杉 海外ではどの職種も当たり前のようにメディアコントロール担当のスピンドクターがいますが、日本に窪田さんのようなお仕事をしている人はいますか?
窪田 PR会社で「メディア対応をします」というところはありますが、「我々は危機管理の専門家です」といったことは聞いたことがありませんね。
土肥 そういえば上杉さんも、鳩山政権が誕生するときに「報道担当の首相秘書官か補佐官で起用する」といった報道が出ていましたが……。その話はどのようになりましたか?
上杉 そんな話もありましたね。しかし、今では記者クラブを守る鳩山政権への批判の急先鋒になってしまいました(笑)。報道担当の話はまさにスピンドクター的な役割だったと思いますね。
土肥 思います、というのは?
上杉 報道担当についての話は、間接的に聞いていましたが、鳩山由紀夫さんから直接「来てください」とは言われていません。もっとも、誘われても行きませんが……。あんな情報管理がボロボロの官邸に誰が行くか、といった感じですね。
一同笑い。
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