世界景気の回復期待や超低金利継続期待から大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2009年11月17日 09時25分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10406.96△136.49

<NASDAQ>2197.85△29.97

<為替:NY終値>89.04▼0.58

世界景気の回復期待や超低金利継続期待から大幅高

 朝方発表になった小売売上高は自動車部門などが好調で予想を上回ったのですが、自動車関連以外の売上高が予想より弱めとなったことや9月分の下方修正もあり、また、11月のニューヨーク連銀景気指数も予想以上に低下するなど経済指標自体は底入れ感はあるものの力強い景気回復を示すものではありませんでした。ただ、個別の企業決算は予想を上回るものが多く、大手自動車会社の業績が上向き、公的資金の返済も早まるのではないかと報じられたこともあって、堅調な始まりとなりました。日本のGDP(国内総生産)の伸びが予想を大きく上回るなど世界的な景気回復を好感する動きもあったようです。

 経済指標が力強いものではないことで、かえって金価格が上昇しているなど商品市況が高くてもインフレ懸念に結びつかず市場では好材料に反応する動きとなっているようです。バーナンキFRB(連邦準備理事会)議長の超低金利継続を改めて示唆する講演内容が伝えられたことも利益確定売りをこなして高値圏での株価を保つ要因となりました。日本市場とは違い、先行きに対して楽観的な見方が多く、好材料には敏感に、悪材料は織り込んでいるものとして反応しているようです。今後もクリスマス商戦などの思惑で動くこともあるのかもしれませんが、経済指標の好転が見られれば上昇スピードが加速されることもあるのかもしれません。

 個別には小売売上高が予想を上回ったことや朝方発表された決算が予想を上回ったことなどからロウズが買われ、連れてホームデポも堅調となりました。ウォルマートは前日の上昇の反動もあって軟調となりました。世界的な景気回復期待が高まったことからキャタピラーやアルコア、デュポン、ボーイングなどと言った主力景気敏感銘柄が軒並み堅調となり、原油価格の上昇を受けてシェブロンやエクソン・モービルなど石油株も高くなりました。インテルやヒューレットパッカードなどハイテク銘柄も景気回復期待から堅調ですが、バンク・オブ・アメリカが軟調、JPモルガン・チェースも上値が重いなど金融株は総じてさえない動きでした。

本日の相場

日経平均

 昨日の市場は米国株が堅調となり、朝方発表されたGDP(国内総生産)が予想を大きく上回り買い先行となったものの、未だ持高調整と見られる売りが続いて上値を抑え、上値の重い展開となりました。大型増資などを嫌気する売りも出ていましたが、それだけではなく、業績回復が鮮明になっているにもかかわらず買い気に乏しい展開です。値下り銘柄数は東証一部で1200銘柄近くとなり、日経平均は小幅高ですがTOPIXは軟調となりました。

 米国市場が大幅高となったことで、日本市場も改めてGDPの回復を織り込むことになるのかもしれません。ただ、外需寄与度が大きい中で為替が再び円高傾向となっていることは上値を押さえる要因となるでしょう。また、引き続き政策の不透明感や混乱が懸念され、最後まで買い切れない状況には変わりないものと思います。そうは言っても、さすがに好調な業績を示しながらも先行きの不透明感などから売られていたような銘柄には買いも入るものと思われ、円高気味ではあるのですが、輸出関連銘柄などの反発も大いに期待出来るものと思います。

 大型増資懸念などもあって指数、特にTOPIXの上値は重くなっており、この傾向はまだ続くものと思います。ただ、TOPIXで見ても850〜60と言う水準は節目であり、ここで底堅さが見られれば反発となって来るのでしょう。日経平均でも9700円水準が底値圏となっており、米国株高を受けて上値の節目である9900円台を目指すことになるのでしょう。10000円を一気に超えるというわけにも行かないのでしょうが、9700円水準での底堅さと10000円水準での上値の重さを確認するような相場となりそうです。

本日の注目点

◇9月の第3次産業活動指数(経産省)

◇10月の米卸売物価指数

◇10月の米鉱工業生産

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