“ニセジャポ”にダマされてはいけない……海外の日本食事情松田雅央の時事日想(2/3 ページ)

» 2009年11月17日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

パリの日本食ブーム

 例えばパリ。ここ数年の日本食ブームで日本食レストランが続々開店し、近郊を含めれば600軒以上、一説によれば約1000軒が営業している。日本食の持つ健康食のイメージがウケているようだ。とりわけパリ1区の聖アンヌ通りとその周辺には数十軒の日本食レストランが集中し、ちょっとした日本食街を形作っている。これほど大規模な日本食街は欧州で他になく、来客数は1日8000〜1万人に上る。

 しかし、数は揃っていてもうまくて安い店を探すのはなかなか難しい。日本食とは名ばかりの衝撃的な食べ物に出くわすことは珍しくなく、 「ダシも具も入っていない味噌汁」「握りすぎて指の跡が残る寿司」、 パリではないが「汁にワインを使ったうどん」も食べた経験がある。数でいけば、残念ながらそんな「ニセジャポ(偽日本食レストラン)」が本物を圧倒する。

パリの日本食レストラン

本物を見分ける

 日本食の普及により噴き出したこの種の問題をきっかけとして、パリでは2006年に仏日有識者が「日本食価値向上委員会」を立ち上げ、2007年から「日本食レストラン推奨制度」をスタートさせた。

 同種の制度としては2006年に農林水産省が検討を始めた「海外日本食レストラン認証制度」が先行する。しかしその構想は海外から「日本政府による押し付け認証制度」、いわゆる「スシポリス」との批判を浴び、事業をNPOに引き継いだ経緯がある。日本人以外が経営する店の締め出す「ナショナリズムの障壁」と受け取られてしまった。パリの制度は農林水産省の構想と背景や時期を同じくするものの、こちらは有志が手弁当で活動する純粋な民間組織であり、農林水産省とはリンクしていない。

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