“ニセジャポ”にダマされてはいけない……海外の日本食事情松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2009年11月17日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 海外に住むと誰しも言葉、習慣、メンタリティーなどさまざまな生活上の問題にぶち当たる。その中でも特に深刻なのが「食」。短期滞在なら我慢もできるが、長期になれば切実度は膨れ上がり、いつしか寿司やラーメンが夢に出てくるようになる。

 日本の食材は一昔前に比べ手に入れやすくなり、日本食ブームと言われる今、日本食レストランを見つけることはそれほど難しくないのだが、日本人が満足できる「本物の店」は少なく、あったとしても目玉が飛び出るほど高い。

 今回は身近になってきたが、まだまだ悩ましいヨーロッパの日本食事情とパリにおける日本食レストラン推奨制度をレポートしたい。

庶民の味方、アジア食品店

 人口数万を超えるような都市には必ずアジア食品店があり、日本食材を入手できる。米、味噌、醤油、干しシイタケ、インスタントラーメンといった基礎的な食材から、コンニャク、納豆(冷凍)、カッパエビセン、カルピスといったものまで揃い、海外在留邦人の強い見方だ。最近は冷凍鮮魚の宅配がありオンラインショッピングで新米が買えるなど、嬉しいサービスが増えている。

 ただし、一口にアジア食品店と言っても中国系、韓国系、タイ系といった店の種類によって品揃えに特徴があり、日本食材がどれほど充実しているかは店による。パリやフランクフルトといった在留邦人の多い都市に行けば日本人が経営する日本食材店もあるが、欧州全体でみれば日本食材専門店は絶対少数だ。ちなみに、商品の価格は日本の2〜3倍になる。

日本食レストラン

 日本では馴染みのない言葉だが、欧州には「日本食レストラン」と呼ばれるカテゴリーがあり、寿司、天ぷら、焼き鳥、すき焼き、そばなど、代表的な日本食を注文できる。また、日本食レストランとは別のカテゴリーとして回転寿司も急速な勢いで増えている。

 日本食レストランにしても回転寿司にしても、店によって味と価格の差は大きく、経営者・料理人・店員の国籍も日本とは限らない。料理人が日本人でない店を敬遠する日本人もいるがそれは短絡的な偏見というもので、きっちり修行を積んだ人であれば国籍に関係なくうまい日本食を出してくれる。

 問題は、もうかるという理由だけで他の業種から日本食レストランへ安易に鞍替えする店が非常に多いこと。傾向として中華レストランから日本食レストランに変身する店が目立つ。

課外授業で日本食を食べる高校生(ドイツの日本食レストランにて)
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.