不況による必然のブームなのか? ご当地調味料の正しい味わい方(1/2 ページ)

» 2009年11月13日 11時22分 公開
[中村修治,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)

有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。


 11月3日は「調味料の日」だった。文化の日だからこそ、日本の伝統調味料を見直し、和食のすばらしさを考えよう、という日。イイ味……イイミ……113の語呂合わせ。まあ、その語呂合わせの良し悪しは横に置いといて、昨今の「ご当地調味料」ブームについて考えてみた。

 2009年10月24日のYOMIURI ONLINEに「地方の味つけ、食卓に『ご当地調味料』人気(関連リンク)」という記事があがった。そこには「ご当地調味料は、原料の一部にその地域特産の食材を生かして地方のメーカーが造っている調味料。その地域独特の味の商品が多いのが特徴だが、口コミなどによって全国的にファンを抱える商品もある」と記されている。

 不況だし、お金はないし、旅にも出られない。人は、安くておいしいものを探す。さらに、旅気分も味わえたらいいな。そこで、「ご当地B級グルメ」が注目されている。

 富良野市の富良野オムカレー、青森市の姜味噌おでん、横手市の横手やきそば、厚木市の厚木シロコロ・ホルモン、大月市の大月おつけだんご、 富士宮市の富士宮やきそば、静岡市の静岡おでん、袋井市の袋井宿たまごふわふわ、浜松市の浜松餃子、郡上市のおくみのツインカレー 、各務原市の各務原キムチ鍋、 高砂市の高砂にくてん、姫路市の姫路おでん、鳥取市のとうふちくわ膳、津山市の津山ホルモンうどん、北九州市の小倉発祥焼うどん、久留米市の久留米やきとり、佐伯市の佐伯ごまだしうどん――など。

 このように昨今有名になったB級グルメを並べてみると分かるのだが、おでんに焼きそばにカレーにうどん――。主要なB級グルメは、実は調味料がカギなのである。味そのものが、その地域の醤油やソース、塩などの調味料の味そのものであったりする。裏を返すと、B級グルメのコンテストは「ご当地調味料」の戦いでもあるのだ。

 そして、外食を控える内食志向の増加で土鍋が売れている。考えてみると、ご当地調味料ブームは、不況が加速させた必然的なブームでもある。

 このご当地調味料への注目と沸き起こる密かなブームは、何でもかんでも安ければ良いという昨今の流通市場とは逆行している。デフレスパイラルの中の一縷(いちる)の望みが、ご当地調味料に引かれている私たち日本人の心の中に、実はある。

 例えば、前述のニュースで話題にあがっていた石垣島ラー油。それは、沖縄県石垣島にある「辺銀(ペンギン)食堂」の辺銀夫婦が自家製で作っていたモノで、その生産量と販売店の少なさから、ファンの間では「幻のラー油」とも呼ばれていたという。

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