「会社を辞めろ」と言われても……泣き寝入りせずに抵抗する方法吉田典史の時事日想(4/4 ページ)

» 2009年11月13日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]
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 「〇〇さんはユニオンに入っているので、我々労政事務所との調停で決着をつけないと、事態は深刻になりますよ。ユニオンとの全面対決は、避けた方がいい」

 つまり、労政事務所とユニオンをいわば合体させることで、会社に対しての強い圧力にするのである。ベテランの相談員ならば、この意味するものを理解し、会社に上手く交渉してくれるはずだ。仮に調停がうまくいかない場合は、ユニオンから団体交渉を申し入れることも考えられるうるだろう。とはいえ、東京都の労働相談情報センターの解決率は7〜8割なので、ある程度は信用していい。

 ましてや、背後にユニオンが控えていれば、会社も軽い扱いはしないだろう。何とか、労政事務所の段階で決着を図ろうとするに違いない。条件退職の道を選ぶならば、ユニオンの存在をちらつかせることで、和解金が増えるかもしれない。会社は、ユニオンをそのくらい警戒している。

 ただし、前述の1と2のどちらを選んでも、私が取材している限り、その後の人生は必ずしもスムーズではない。しかし、その人たちは自分の意思を会社に示して生きている。そのこと自体、素晴らしいことであり、称賛されていいことだ。

 自分の意思は、会社に伝える。泣き寝入りはしない。その姿勢こそ、いまの時代に大切なものなのではないだろうか。

 女性ユニオン名古屋の執行委員長の坂喜代子さんから、厳しいひと言をいただいた。

 「テレビや新聞が、『大企業が業績悪化によりリストラしなければならなくなった』などとあおったことも、リストラを加速させたと言えるのではないでしょうか」

 さらに、こうも付け加えた。

 「ほとんどの労働者は、闘うすべを知りません。ユニオンにたどり着く人は、ほんの一握りです。企業は、おとなしく辞めない社員に対して、見せしめのような締め付けを強行します。企業に対してどんなときにも、毅然とした態度で臨むことが必要です。“簡単に手出しができないぞ”というオーラを放ちつつ、働くことですね」

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