今度は、最寄りの都道府県庁の労政事務所に相談に行くことを勧める。インターネット検索で「労政事務所」と入力すると、そのWebサイトが出てくる。ちなみに東京都の場合は労政事務所ではなく、労働相談情報センターという名称になっている。
労政事務所は労働相談を受けたり、労使間の問題の解決に向けて双方の調停をしたりする役所である。相談員は地方公務員であり、守秘義務は心得ている。その点は、信用していいだろう。
労政事務所は会社に対し、労働基準監督署のように法的な強制力がない。このことをとって、一部の人は「労政事務所は弱い」という。私は、だからこそ、第1ラウンドとして勧めている。
この時点では、会社との交渉の場を作ることが大切だ。相手をひきずり出すためにも、労政事務所はベストだ。仮にユニオンならば、会社は警戒し、冷静な話し合いにならない場合がある。
労政事務所は、会社からするとやっかいな存在であることには変わりがない。経営者は社内で起きたことを外に持ち出されることに、強いアレルギーがある。労働相談情報センターの相談員が、呼び出しの電話を会社にすると、そのうちの9割近くが同センターに現れるという。これは、会社がいかに第三者機関に弱いかを物語っている。
相談員には、自分がユニオンに入っていることを伝えよう。その際、組合加入を証明するために入会の領収書などを見せるといい。そして、労政事務所の調停がうまくいかないときは、ユニオンから団体交渉を申し入れることも考えられるだろう。相談員は、真剣に話を聞くはずである。労政事務所とユニオンの執行部とはつながりがある。
その上で、自分が受けている行為を証拠をもとに説明し、自分の意思を伝えること。そこで考えられるのは、主に以下のものだろう。
1.退職強要という事実を会社に認めさせ、それをストップさせ、元のように仕事ができるようにする。その環境を会社が整える。
2.退職強要という事実を会社に認めさせ、その上で退職金と和解金を支払わせて辞める。=条件退職
上記のどちらを選ぶかは、あなた次第だ。労政事務所の相談員には、会社側にこのようなことを言ってもらおう。実際、多くの相談員はこのように思っている。
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