「会社を辞めろ」と言われても……泣き寝入りせずに抵抗する方法吉田典史の時事日想(2/4 ページ)

» 2009年11月13日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

解雇ではなく、退職強要でくる

 仮にあなたが正社員だとして会社の上層部から「辞めろ!」といわれたとする。拒絶の意思を強く示すならば、その対応策を紹介しよう。リストラの取材は13年ほど前からしてきたが、これはベストに近いものと自負している。

 まず、自分の意識を確かなものにすることである。会社はよほどのことがない限り、正社員を解雇にはしない。このことを心得よう。

 解雇には3種類(懲戒解雇、整理解雇、普通解雇)あるが、いずれもが会社からすると、ハードルが高い。裁判や外部の労働組合、労政事務所などの第三者にその社員が解雇の話を持っていくと、会社にとって不利になる。正社員の法的な保護は、会社員が想像する以上に進んでいる。そのあたりは、自信を持っていい。

 ただし、これは従業員数200〜300人以上の会社に限られた話である。小さい会社の場合、ワンマン経営者が労働法に無知ということもあり、強引に解雇にすることがある。だが、その場合も安心してよい。その大多数が不当解雇だ。争えば、不利にはならない。

 会社は、正社員を辞めさせるときに解雇という手段を選ばない。最も多いのが、退職強要である。退職強要とは、本人が「辞めない」という意思を伝えているにも関わらず、会社がそれに反して執拗に「辞めろ」と迫ることだ。

 会社は解雇通知を出すと後々に問題になるので、退職強要をうまくすることで辞表を書かせようとする。この手口は、よく覚えておこう。

「辞めろ」と言われたら、「私は辞めません」と繰り返す

 一番大切なことは、会社に残りたいのであれば「私は辞めません」と、繰り返し言うこと。意思を表明するのである。法的にも、これは意味がある。「辞めない」と意思を伝えても、会社が退職を迫るならば、それは許されない行為なのだから。退職強要は不当な行為であり、民法の損害賠償の請求対象行為である。

 退職強要は、例えば、管理職や人事部員が社員を個室に呼び出し、「話し合い」と称して、辞表を書くように説得したり、さらには仕事を取り上げりする。要は、イジメである。それでも、「私は辞めません」と言おう。くどいようだが、意思を伝えることが大事なのだ。

 自分が受けている行為は、ノートに記録すること。退職を迫られているやりとりは、ICレコーダーなどに録音するべきである。ポケットに忍ばせておけばよい。会社は、第三者機関から攻撃を受けると、必ず「辞めろ、なんてことは言っていない」と逃げる。逃げ道を防ぐためにも、録音するのである。

 今度は近くにある、コミュニティユニオン(労働組合)に入ることを勧める。連絡先が分からなければ、全国コミュニティ・ユニオン連合会に電話をして確認するのもいいだろう。組合費は、大体、月に1000〜2000円程度になる。

 社内に労働組合があるならば、「不当な行為を受けている」と執行部に伝えておくこと。ただし、さほど頼りにはならない。要は、いきなり社外に持ち出そうとはせずに、社内で相談をしたという事実を作れば、それでいいのだ。後々、争う上で有利な材料となりうる。

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