米国株高について行けず持高調整の売りに押されて軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2009年11月12日 16時39分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 ここのところ外部環境が変わっても毎日同じ様な相場が続いています。今日も米国株が堅調、外国人も買い越し、為替も落ち着いた動きとなっており、好材料もいくつか散見されたにもかかわらず、相変わらず買い気の乏しい中で、持高調整の売りに押される格好となりました。政策の先行きが見えないことで、買い気が出ない状況は全く変わらず、好調な業績が発表されて、買われても長続きがしないようです。

 日本株の出遅れが喧しく取りざたされ始めましたが、景気回復過程で改革の後退など政府の施策に対する懸念が根強いことで買い手がいっこうに現れないのでしょう。週刊誌上で元経済財政担当大臣の大田弘子氏が述べているように、現在の日本には経済成長に対する閉塞感が漂っており、経済成長への危機感を認識し、その閉塞感を打破するような政策が必要なのではないかと思います。

 内需拡大といいつつ、最低賃金の引き上げ、温室効果ガスの25%削減、なども国内で活動する企業にとってはコスト増要因であり、本当に民主党の政策通りになるのであれば、輸出企業などは中国などアジアで生産し、そこから輸出するような手立てしかなくなってきそうです。そうした動きを嫌気して株式市場も反応しているものと思われますが、政府からは株式市場の低迷=金融市場の停滞に対して何もない、コメントすら聞かれないことは大いに問題ではないかと思います。

 最初から「企業=悪」、と決め付けているきらいもあり、事業仕分けに関してあれだけ大騒ぎをしながら行うのであれば、日本郵政の問題なども某大臣の思惑で決めずに、一つの「役所」と考えて事業仕分けをすればよかったのではないかと思います。いずれにしても、相場の雰囲気は今の政策では明るさは見えず、個々に政策に関係のないところで、業績が好調なものなどをしっかりと拾っておけば、持高調整の売りが一巡したところからは戻すのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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